アベンチュリンはすべての宝石を配り、ついに思惑通り仮面の愚者である花火をおびき出すことができた。花火に重要な手がかりに関して再三確認した後、アベンチュリンは勝利を確信し、クラークフィルムランドへと向かった……
一方その頃のアベンチュリン 
……
顔色が悪いな。それとも、それも君の演技か？
ふん、よくまた僕の前に顔を出せたね。
これこそが君の望む結果だと思っていたんだが。なにしろ、僕は君が言ったように──「忠実に自分の役割を果たした」のだから。
もうダメだと思った時は、僕に声をかけてくれ。
凡人院の「天才」が僕の遺体を引き取るつもりかい？それは…光栄な話だな。
戦略投資部の連中も、君の計報を真っ先に受け取りたいと思っているはずだ。忘れるな、君は二度と彼らに会うことはできない。この任務は今、僕の手に委ねられている。
わかった、じゃあ今すぐ報告を入れてくれないか？「アベンチュリンは万全の準備を整えた。17システム時間後に成果を受け取りにこい」ってね。
またそんな大口を…「調和」に捕らわれている状態で、どうやって任務を遂行するつもりだ？
サンデーとの会話で、僕はファミリーの中に裏切り者がいると確信した。ピノコニーの秘密はその人物の手の中にある…そして僕も、この機会にすべての基石を本来あるべき場所に戻した。
謝礼金も取り戻せだし…ホテル・レバリーに足を踏み入れてから、ここまで順調に事が運んだことはない。勝利まであと一歩なんだ。
自分の惨状を復唱しているようにしか聞こえないな。それも負けを認めるのを拒否するような、極めて強情な言い方で。
僕に言えることはこれだけだ。忘れたのかい？君は僕を一度裏切ってるんだよ、教授。
自分の行くべき場所に行くといい。僕はカンパニーの戦艦に包囲されるピノコニーを見たくてたまらないんだ…君も、欲しかったものは手に入ったんだろう？
ああ。だが、どうするつもりだ？その謝礼金の入ったバッグの中に、低軌道支援を呼べるビーコンでも隠してるのか？
さあ、それはどうだろう？まあでも…僕が死の瀬戸際にお金を配ろうとしている理由は、それかもしれない。
…君は完全に狂っている。どうしようもないギャンブラーめ。
狂ってる、か。もしかしたら、僕はとっくに狂ってたのかもしれないね。
……
もういい、これを持っていけ。死ぬ直前にそれを開けるんだ。そうすれば、きっと僕に感謝するだろう。
これは何だ…「処方箋」か？
…フッ、君はドラマ性ってやつをよく理解してるみたいだね、教授。
……
人に事件を調べさせておいて、手掛かりひとつくれないなんて…やってくれるな、あの羽頭め。
でも、あの密航者のために落ち着きを失っている君たちの様子は、僕の推測を裏付けてくれた。この後は…カンバニーの富の雨を、すべての人々の頭上に降らせよう。
宝石を配り、密航者の手がかりを探る
あなたはちょっとしたすり替えマジックによって祝い金を獲得した。他にも自分の基石である「砂金石」がある──それほどいい結末ではないにも関わらずだ。しかし、計画はまだ進行中で、たとえ差し迫った死ですらも、その歩みを止めることはできない。
道行く人に祝い金を配り、必要な情報を手に入れよう。
道行く人に祝い金を配り、必要な情報を手に入れよう。
視点切り替えtips
ラローズと話す
「純美の歌」が銀河で歌い継がれるようにするために、あたしの公演を応援してね。
この宝石をあげる。
わあ、綺麗な宝石！でもこんなに素敵なプレゼント、どうして見ず知らずのあたしなんかにくれるの？
それは…美しい夢の中で、誰かが貧しい思いをするところは見たくないから、かな。
あなた…優しいのね。そういうことなら受け取っておくわ。ありがとう、はじめましてのお兄さん。今度時間があったら、あたしの歌を聴きにきてね。
うん、きっと行くよ。ところで、ついでに教えてもらいたいんだけど、「死」に纏わる逸話って聞いたことないかな？
「死」？それは…怖い言葉ね。美しい夢には似つかわしくない。
実は…僕はタブロイド紙の記者で、今はピノコニーの怪談について調べてるんだ。君も知ってると思うけど、こういうのって…怖ければ怖いほど注目されるだろ？だから何か知ってることがあるなら、少し話を聞かせてほしいな〜って。
ただの噂でよければ…「死」とは関係ないけど、現実のホテルでは、お客さんが眠ったまま起きなくなったことがあるらしいの。
原因不明の昏睡だったみたいだけど、幸い最後は意識を取り戻したんだって…それはそうよね、だってファミリーがお客さんを守ってるんだから。
ありがとう、今の話で十分だよ。シペのご加護がありますように。
（眠ったまま起きなくなった？夢の中で脳が死んだ時に現実の体で起こる反応に似てるな…後半の「意識を取り戻した」っていう言葉さえなければよかったのに）
（ああ…頭の中に何かあるような感じがする。「調和」の影響が出始めてるのか？）
シャブローと話す
やれやれ…世の中は乱れ、人々の心も変わってしまった……
この宝石をあげる。
お前さんは…ああ、わかったぞ。これは何かのイタズラ番組だな？きっと向こうの建物にカメラを仕掛け、自分の善行を撮影しているんだろう？
お前さんたち若者は、朝から晩まで奇をてらうことばかり考えている。それではダメだ、本当に面白いシーンとは心で作り出すものなのだから。
面白いシーンならもうすぐ始まるよ、おじいさん。でも、その前に少し聞きたいことがあるんだ。この夢では、どこで「死」を見つけられるか知ってるかい？
これはこれは！また「死を恐れない」若者か。忠告しておくが、自分の考えが進んでいるとは思わないことだ。
「死」、そんなテーマはとっくに廃れている。Dr.エドワードのところで買ったことがあるが、なんというか…1点限りの高級な匿名寄付品だと言う割には、くだらない、ただのおふざけばかりだった。
ひどい出来で、目がたくさんある怪物に腹を刺されるところから始まり、その後は高層ビルや明かりがぼんやりと見える以外、ただ世界がグルグル回っているだけで、思わず吐くかと思ったぞ……
…それだけ？
他に何があると言うんだ？ピノコニーの映画産業の実力には期待しないほうがいい…あいつらはそういう作品を「前衛芸術」と呼んでるんだぞ。笑えるだろう？
…そうだね。邪魔してごめん、いい1日を。
（目がたくさんある怪物…あの記憶域ミームに似てるけど、高層ビルと明かりは…「死」には何の関係もなさそうだ。たぶん噂で作り上げられたドリームバブルだろうな）
（頭の中の声が強くなってる。段々近づいてるみたいだな）
ボッチと話す
酔っぱらえば夢を見なくなるが、悩みが消える…はは、やっぱり俺は詩人になるべきだったんだ……
スラーダは飲み過ぎないほうがいい、体によくないからね。
おっと！くく、お前の言う通りだ…だが、その前に…スラーダの悪魔に会ってみたい……
「スラーダの悪魔」…その話、詳しく聞かせてもらえるかな？
ふふ…いいぞ…ああ！それはな…首の太い…タツノオトシゴだ！
あいつらが言うには…それは酔っ払いの前に現われるのが大好きだそうだ…特に道端で酔い潰れてる大！バカ！野郎！の前にな。あはは、あー面白い……
…確かに面白いね。教えてくれてありがとう。
（ファミリーに入る前は、みんなこうして苦しめられたのか…くっ、僕の脳を証拠として送りたくなるな……）
ウールシと話す
安全にはご注意ください。何か危険なことがありましたら、ハウンドがいつでも力になります。
この宝石をあげる。
……
背の高い男は複雑な表情を浮かべた。まるで泥まみれのスズメを見ているかのように…なぜなら、飛べない鳥は死刑宣告されたも同じだからだ。
あなた…体調が優れないようですね。助けが必要でしたら、ホテルに連絡して強制的に覚醒させることもできますが。
いや、大丈夫。まだやるべきことが残ってるから…でも、ありがとう。
わかりました。無理はしないでくださいね。何かありましたら、いつでもハウンドにお声掛けください。
ああ、実は聞きたいことがあるんだけど…ピノコニーで一番優秀なハウンドとして、君は密航者と接触したことはある？
密航者？ピノコニーに密航者なんているはずないじゃありませんか。どこでそんな話を聞いたんですか？
そっか…わかった。じゃあ、お仕事頑張ってね。
（やっぱりファミリーはカンパニーに何も教えてくれないな…って、そんなの当たり前か）
……
ウーマと話す
私と話がしたいんですか？構いませんが、デリケートな話題はやめてくださいね。
この宝石をあげる。
お金を持っている人ほど夢の中で豪遊するものですが、自分から他人にお金をあげる人は初めて見ました。
あなたも体を覆う金箔を分け与える王子になって、溶鉱炉で鉛の心臓を溶かしたいのですか？
アハハ！王子だなんて、それは持ち上げすぎだよ。僕はただ、この宝石で君にあることを教えてもらいたいだけさ。君ほどのキャリアを持つ調査報道記者なら、「死」とも接触したことがあるんじゃないかと思ってね。
あら、あなたも好奇心旺盛なんですね。実は…それは私が業界に入った時に一番やりたかったテーマなんです。でも、局長からストップをかけられてしまって。
その局長はなんて言って君を説得したんだい？
理由は大したものじゃなくて…ただ「そんな根も葉もない都市伝説を報道したら、私たちは三流メディアだと思われてしまう」と言っていました。
よく考えてみたら、それも一理あるかと思いまして…誕生日に蝋燭を吹き消すと悪夢の幽霊に取り憑かれるとか…そんな報道をするのは、正直プロの仕事とは言えませんからね。
フフ、それはなんとも不思議な話だね…いずれにしても、話してくれてありがとう。
……
バアルと話す
えっと…僕に何か用？ごめん、てっきり僕の後ろにある何かを見てるのかと思って。
この宝石をあげる。
これは…僕へのプレゼント？何かの間違いじゃないか？
大した金額でもない、ささやかなものだけど…受け取ってくれると嬉しいな。
本当に？まさか僕が他の人からプレゼントを貰えるなんて。僕の両親じゃなくて、この僕が…ありがとう、本当にありがとう！
落ち着いて。実は、君に少し聞きたいことがあるんだ。
…はあ、やっぱりか。何を知りたいんだい？僕の父さんのこと？それとも母さんのこと？
えっ…どっちでもないけど。僕が聞きたいのは、夢境の中で「死」に関する話を聞いたことがあるかってことさ。
へえ、君も僕の父さんと同じことを言うんだな…父さんも危険はどこにでもある、夢の中でも油断してはいけないって言ってた。
父さんはオムニックだから、夢に入る方法が有機生命体とは違うんだ。だから仮に危険なことがあっても、夢境の中では僕を守れない…守る？身の安全も父さんに守ってもらわないといけないなんて、僕は本当に父さんに遠く及ばないな…はは、皮肉だ。本当になんて皮肉なんだ……
…その、もっと楽観的になってもいいんじゃないかな？瑠璃も玻璃も照らせば光るって言うしさ。
（スラーダの悪魔、夢の中の危険、悪夢の幽霊…やっぱりファミリーが約束した美しい夢の中では、「死」が人々の興味をそそる話題であることは間違いない。ただ、所詮はどれも噂話…あまり役に立ちそうなものはないな……）
（そろそろバッグの中身が底を尽きそうだ…最後の幸運な人に会ってみよう。何かサプライズがあるといいんだけど）
最後の宝石を配る
祝い金はまもなく底をつきそうで、耳元のキーンという不快な音もますます大きくなってきている。これはよくない兆しだ──もっと急がなくては。
花火が言ったこと覚えてる？君たちツガンニヤ人はマンホールの中にいるのがお似合いだって……
あちこちコソコソ嗅ぎ回ってるみたいだけど──
──そんなに「死」のにおいが魅力的なの？孔雀ちゃん。
ふん…君か。ロビンが死んだ後、テレビに現れた「代役」は君だってことに、もっと早く気づくべきだったよ。仮面の愚者。
君、ファミリーに呪いをかけられたんでしょ？はあ…あんなあからさまなヒントをあげたのになあ…「口の利けない人を仲間にしてみたら」って。こんな簡単な言葉なのに……
その結果はどう？君は失敗したどころか、自分を犠牲にすることになった。確かに口の利けない人を仲間にするようにとは言ったけど、君自身が率先して口の利けない人になれなんて言ってないのに。ホント、人の親切を無駄にするんだから。
…どういう意味だい？
花火より君のほうがよくわかってるんじゃない？歌えない小鳥が目の前で死んでいくのを黙って見てたのは誰？もちろん君だよね、孔雀ちやん〜
僕が聞いてるのは…「口の利けない人になる」の意味なんだけど。
わかってて聞いてるでしょ。もうすぐ君も彼女と同じように、永遠に口を利けなくなるってことだよ。
……
でもまあ、花火としては、それも悪いことじゃないんだけどね。だって ……
僕が「真実」に触れようとしてるから、だろ？
…ふぅん？
愚者、僕がこんなちゃちなバッグを持って、街中で安っぽい宝石を配ってたのはなんでだと思う？
全部君に見せるためさ。僕が狼狽えれば狼狽えるほど、君を釣れる可能性が上がる…ずっと君を待ってたんだ。こんなに頑張ったんだから、ご褒美として答えを教えてくれてもいいんじゃないか？
なんで花火が君を助けないといけないの？
君はピノコニーを大混乱に陥らせたいんだろ?僕にはそれができる。ただ1つだけ確かめたいことがあるんだ。あの時、君が僕に言った「口を利けない人」っていうのは……
…本当に「ロビン」のことだったのか？
……
…もし「いいや」って言ったら？
ありがとう、その言葉がこんなに親切に聞こえたのは初めてだ。
なるほどね。花火、君を見くびってたみたい。でも、それがどうしたっていうの？
教えてあげる──「口の利けない人」って定義に当てはまる人はもともと2人いたの。でもロビンは死んじゃって、もう1人は…まだピノコニーにいるけど、たぶん、もう君には見つけられないだろうね。
愚者、今なら確信を持って言える。僕は最初から正しい道を進んでた、ちっとも間違ってなかったってね。
今の僕に足りないものは2つだけ。1つは真実の裏にある意味。もう1つは、それを明らかにする方法だ。
そっかそっか！よかった、また花火の大好きな強情っぷりを見せてくれる気になったんだね──でも、それって何もわかってないってことじゃないの？
いいや、これまでに見つけた様々な痕跡から、それが確実に存在することは証明できてる。それで十分だ。今あげた2つの問題の答えについては…17…いや、16システム時間あれば、すべてを明らかにできるだろう。
16システム時間？ホントに足りるの？それなら、もう少し君を焚きつけてあげよっかな。
はい、これあげる。これは花火のコレクションの「相互保証破滅」ボタン。花火も同じのを持ってるんだ。花火か君のどっちかがこれを押せば、もう1人はすぐにピノコニーもろとも爆発するの。
もし君が本当にカンパニーをピノコニーに引き入れたくて我慢できなくなったら…ゲームテーブルそのものを引っくり返すのも1つの手だよ。最初っからやり直せばいいんだから！カンパニーってそういうの得意でしょ？
だから、どうしようもなくなった時はそれを押して。もちろん花火に連絡してくれてもいいけどね。花火の「最期の気遣い」だと思って！
そんなに危険なのか…ファミリーは君の言葉を間に受けなかったんだね？そうじゃなければ、君がこれを持ち込むこともなかっただろ？
君は、花火にはそれができるってことだけ知ってればいいの。
残念だけど、君の提案は断らせてもらう。君のおもちゃが本当に役に立つかどうかわからないし、僕は君の言う「口の利けない友人」を探しに行くつもりもないからね。まあ、その人がまだピノコニーにいるって聞けたのは嬉しかったけど。
あとのことは自分でどうにかする…ファミリーの崩壊を祝うためのショーを用意するんだ。クライマックスでは高い壁が崩れ落ち、人々が目覚め、口の利けない人も再び声を発することになる──
──その時が来たらボタンを押して、盛大な花火で盛り上げてくれ。それじゃあまたね、愚者。
この期に及んでまだそんな大口を叩けるなんて…でも、約束だよ。
絶対花火をガッカリさせないでよね。
アベンチュリンの過去
戻ったか、35番。そのお守りは気に入ったか？
…「商品コード」もお守りになるのか？
黙れ、発言を許可した覚えはないぞ。ツガンニヤのハイエナめ。
……
あの黒いスーツの連中は多くを語らなかったからな。お前が一体どんな手段を使って、あの大虐殺を生き残ったのかは知らねえ。
だが、俺はお前が幸運だと思って買い取ることにした。今後、お前とお前の運は俺の財産だ。わかったか？
お前への最初の命令は至ってシンプルだ。俺はお前の他にも30…いや、34人の奴隷を買った。
そいつらと「ゲーム」をしろ──2日間生き延びることができれば、お前の力が本物だという証明になる。
…狂ってるな。
はっ、ただの検品だ。
購入費用が無駄になるのが怖くないのか？
金なら有り余ってるからな。金髪小僧、汎星系奴隷市場には、お前みたいな身の程知らずなクソガキは腐るほどいる。
だが、お前は見た目が悪くない。だから大勢の客がガリガリに瘦せたお前に賭けてるんだ。さあ、行け。俺を失望させるなよ。
……
…いくら使った？
あ？なんだって？
僕の価格さ。一体いくらで僕を買ったんだ？
ふん、知りたいか？いいだろう、知りたいなら教えてやる。60タガンバ だ。
…あんたと賭けをしたい。
60の半分、30…もし僕が生きて戻れたら、それを僕にくれ。賭けるかい？
ハッハッハ！俺と賭けをしたいだと？中々骨があるじゃねぇか！
──だが、悪いな。それはできねぇ相談だ。奴隷、自分の立場を忘れるな。お前にはテーブルにつく資格なんざないんだよ。
お前はただのチップ、他人に握られて投げられるだけの命だ。さあ、主人のためにもっと多くのチップを持ち帰ってこい。それができないなら…二度と帰ってくるな。
「オール・オア・ナッシング」──俺の顔に泥を塗るんじゃねえぞ、ラッキーボーイ。