アミュデス 
ショッピングセンターにて
見ろ、ここにはどんな連中がいる？
現実逃避していたずらに生を貪る者、嘘ばかり吐く上辺だけの者、泣き喚いて慰めを求める者…そう、自分に自信のある人間は夢に頼ったりはしない。
私から見れば、ピノコニーは巨大なゴミ箱だ。そこに詰まっているのは、少し挫折しただけで弱気になって引き篭もる──宇宙中の負け犬だ。
こんな場所に長くいたら、君も気付かぬ間に堕落してしまう──わかるか？君の思考も感情も、垂れ流された欲望の中で擦り減っていき、最後には人間全体がダメになってしまうんだ！
じゃあ、どうすればいいと思う？
娯楽は宇宙資源の浪費、まともな人間の努力に対する冒売だ！ピノコニーのような場所は一刻も早く閉鎖されるべきなんだ！
考えてみてくれ。この宇宙がどれだけの文明種族を育んできたのか。その中で母星を離れる能力を持った者がどれだけいるか。そして実際にその一歩を踏み出し、星間の旅に出ることを選んだ者がどれほどいるか。
故郷を離れ、星空を探索する機会を得られるのは、1億分の1の確率の幸運児か、常人には想像もできない代価を支払った者──私は後者のうちの1人だ。
母星を出るために苦学すること10年、ついに博識学会の門を叩いた──だというのに、ここの連中ときたら、その千載一遇のチャンスを何に使っている？酒色に溺れる怠惰な生活だ！
母星が苦労して君を育て上げたのは、その星の未来を築いてほしいからだ。好き勝手に遊ばせるためではない！
…こんな簡単な道理を、どうしてここの連中は理解できないんだ！？
俺は違う、俺に母星はないから。
……
男は少し沈黙した後、複雑な目でこちらを見た。その目から伝わってくるのが哀れみなのか驚きなのか、判断するのは難しい。
そういうことなら…もう言い争う必要はないな。君の好きなようにすればいい。
そう言うと、彼は再び舞台役者の隈取りのような怒りの表情を浮かべ、通行人への批判を再開した。
追加会話
まあ、1日中こうして現実逃避していては、成功を収めることは難しいだろうな！
たくさんのゲストはもう成功している。
あ、それは…ううむ……
だ、だが、こんなところで遊んでいなければ、彼らはさらに大きな成功を収め、もっと素晴らしい成果を上げることができたに違いない──遊びに1秒費やすごとに、この宇宙に貢献できる時間が1分減るんだ！
わかる者にはわかる、わからない者には…ふん、「朽木に彫刻はできぬ」ということだ！
クロックトリックで「平常心」を補完する
……
男は突然スピーカーが電源を抜かれたかように、びたりと騒ぐことをやめた。その表情と体も硬直しているようだ。
…おかしい。急に…冷静になったようだ。
…よく考えたら、楽しむことの何が悪いのだろう？楽しみを追求することは、本来生命の一部分であるはずなのに。
やっと正気に戻ったな。
確かに、前は楽しそうにしている連中を見ると心がザワつて、体中をヴォイドレンジャーが這い回っているような感じがしていたが──あれは正常ではなかったのだな。
思うに、私の怒りは…単なる嫉妬にすぎなかったのだろう。
私の故郷はカンパニーによって星間市場に組み込まれてはいたが、なかなか発展できない星でな。生まれてからというもの、私はずっと大きな格差の中で生きてきた……
母星で就ける仕事は採掘を除けば農業だけで、高度な職業の働き口は1つもなかった。だから若者たちは広い宇宙に出て、チャンスを見つけようと躍起になっていたんだ。
星から出るには、カンパニーの社員になるか、博識学会に加入するか、この2つの道しかなかった。後者は前者より待遇がいいが、当然競争が激しい。
だからお前は博識学会に入ったのか？
ああ、だから私は十数回にも及ぶテストと答弁のために、準備をしなければならなかった。これは想像していたよりずっと難しいことで、ほぼすべての体力を使い果たしてしまった……
当時は私は若く、好きなものもあった。例えばオーブバールから入ってきたクォークチェス、ナナシビトが持ってきた開拓カード、スペースネットワークで遊べる電子ゲームなど…数え始めればキリがない。
だが、私は知っていたのだ。そうしたものに触れて、もし夢中になってしまったら…一時の快楽のせいで未来を葬ることになると。
博識学会に入るため、私は遊びたいという欲望を必死に押さえつけ、すべての脳力を学習と記憶に費やした…あれは本当に…充実しつつも抑圧された時間だった。
私は成功して学者になりさえすれば、娯楽への強烈な欲求も自然と消えていくものだと思っていたが…今にして思えば、きっと押さえつけるよりも適度に解消してやったほうがよかったのだろう。
こうして落ち着いてみると、自分の中にあった固い結び目が解けたような気がする。だが、どうしてだろうな…私はすべてに対して興味を失ってしまったようだ……
自分を長く抑圧しすぎたんだ。
確かに…もともと私がビノコニーに来たのは心を休めるためだった。だがゲームについては…私はずぶの素人なんだ。
ほら、こんなにたくさんのエディオンコインを貯めたというのに、まったく使う機会がない……
俺と一緒にゲームをしよう。
なに！？ほ、本当にいいのか？
わ、私は子供の頃からそういうものに触れたことがないから、遊び相手としては物足りないと思うが……
だが君がそう言ってくれるなら、私もできるだけやってみよう。
そうだ、コインも分けておくか…私だけで全部使い切るのは難しいからな。
時間ができたら、エデイオンバークまで私に会いに来てくれ。
「悟りを開いた」後のアミュデスと会話する
チクタク！早く針を動かすんだ！チクタク──
人々の心を探索し、彼らに本当の自分を取り戻させてあげよう！
人々の心を探索し、彼らに本当の自分を取り戻させてあげよう！
エムリッヒ
黄金の刻にて
うーん……
うーん…うむむ……
何してるんだ？
…ん？私の邪魔をするな！今ビジネスの戦略を考えているのだよ。そんなことも分からんのかい？
おや。お主、その服は何だ……？面白い、黄金の刻にそんな…質素な服を着た人間はいないからな。まあ、わざとみすぼらしい格好をしているやつらを除くが。
…待て、ひらめいたぞ！お主が突然現れたおかげで、素晴らしいアイデアを思いついた！
その名も「物乞いごっこ」──いいぞ、さすが私！これは絶対ウケるだろう！
そこまでみずぼらしいか？！
見知らぬお坊ちやんよ、目を見開いてよーく見てみなさい？周りの人たちがどんな格好をしてるか分かれば、自分がこの街で如何に悪目立ちしてるか分かるだろう。
しかし友よ、恐れるでない──独立独歩な人間はこの街では少ない。物欲であふれたこの世界で、自分らしさを貫くのは簡単じゃないからな！
だからお主は自分の道を進め。誰もが目を背けたくなるような物乞い坊やを演じ続ければいいじゃないか。そうすればきっとみんなを楽しませられる。
お前は誰なんだ、俺たちは知り合いじゃないよな？
私か？私はエムリッヒ、発明家だ。
部屋の中で縮こまっている二流の貧乏発明家ではない。この街の珍しい物のうち、少なくとも3分の1は私の特許だ！
残念、実に残念だ……私が夢境都市に来たばかりの時は、まだ権利意識が低かった。そのせいで素晴らしいアイデアを他の人たちに盗まれてしまった。
これは経験者のアドバイスだよ。もし突然いいアイデアが浮かんだら、慌てて人に話してはならん……まずはその価値を考えるんだ、頭が空っぽで小ざかしいだけのバカどもに横取りされないようにな。
無駄話をしている暇はない……最後に一つ忠告をしよう。適当な店に行ってきれいな服をそろえて来なさい。少しは自分の外見に気を遣うべきだ。分かったか？
追加会話
ん？私にまだ何か用か？
💭何を発明したんだ？
💭そういう態度が少し気に入らない。
お金が必要なのか？
金？まさか、この私が金に困っているように見えるとでも？
冗談言うんじゃない、私が特許で得ている収入は普通の人間が一生かけても使い切れない大金だ。
じゃあ何でまだそんなに特許にこだわってるんだ？
簡単なことさ──これらが全て、元は私の考え、私のアイデア、私のデザインだからだ！
はなから金のことなど気にしていない。これは公正、ルール、それから……それから名声に関わる問題なのだよ、分かったかい？
クロックトリックで「喜び」を補完する
ピピシ人が踊り始めた。その動きからは情熱、喜び、そして少しばかりの…傲慢が見て取れた。
エムリッヒは小さな手を伸ばし、「長期特許防衛カード」を近くの壁に貼った……
…ほう？何だ？おお…これはすごい！
まるで生き返ったようだ…これですっかり元気になったぞ！無数の偉大なアイデアが次々と浮かんでくる──全宇宙の愚か者どもが偉大なエムリッヒ様の前でひざまずいているのが見える！
博識学会の凡人たちなんざ、どこにでも消えてしまえ！「方法論」と「製品の価値観」で頭がいっぱいのやつらなんかに、魂のある発明は生み出せない。
遅かれ早かれ、この私──偉大なエムリッヒ──の発明は夢境を飛び出して、カンパニーから利権を奪い取ることになる！
妄想タイム突入か……
おお君──そう、お主だよ。何をキョロキョロしている！私を手伝いたまえ。
光栄に思え。このエムリッヒに自身をアピールできる機会など早々ないんだからな。
さあ、来なさい。お前にこれを見せてやる……
ただの紙？
ただの紙だって？そう思っていたら大間違いだ！
特別教えてやろう。ピノコニー史上最も偉大な発明の一つ！よく聞け、その名も──「長期特許防衛カード」！
何をめちゃくちゃな……
ふん、道理で背の高い種族には知恵がないというのだな……
ちょっとニュースを見ればすぐ分かることだ。今、世界中で知的財産権と技術特許の揉め事ばかり起こっている。
文明のあるところなら、すべからく権利の侵害行為が発生する……これはもはや法律の知識ではなく、物理法則と言ってもいい。
…しかしこの発明によって、私はピノコニーでの侵害行為を根絶して見せよう。見るがいい、歴史が証明するだろう。「長期特許防衛カード」の登場は宇宙文明の進歩を象徴する大きな一歩なのだと！
さらに画期的なのは、簡単に使えるということだ……見よ！
エムリッヒは小さな手を伸ばし、「長期特許防衛カード」を近くの壁に貼った……
ピピ…特許侵害リスク分析中……
ピピ…分析終了。分析対象：「ピノコニーの普通の壁」。
ピピ…分析結果：分析対象に関わる原材料、サプライチェーンおよび関連技術に権利侵害のリスクはなく、正常に応用可能。
見たか？これが「長期特許防衛カード」の凄さだ。これがあれば大儲けできる……あ、いや、ピノコニー中の発明者の権利を守れるぞ！
さあ、何枚か持っていって、金になるもの…いや、コホン、何かハイテクなものを見たら貼ってみたまえ。覚えておけ、全ては社会の公正と進歩のためだ！
何に貼るか具体的に言ってよ……
うーん…確かにお主のような能力が低い背高のっぽには分からんか。いいだろう、じゃあいくつか「分析対象」を指定してやるとしよう……
…よし、決めた！高級浮遊車「スタインウェイ・ファルコン」、望遠鏡、それから「販売員」の看板──まずはこれらを分析してきてくれ。
おかしいな。こんなにすごい発明がありながら、何で今まで使おうとしなかったんだ…まあいい。考えすぎても仕方ない、今から動いても遅くはないだろう！
長期特許防衛カード
カードを高級浮遊車に貼る
チクタク！早く針を動かすんだ！チクタク──
人々の心を探索し、彼らに本当の自分を取り戻させてあげよう！
人々の心を探索し、彼らに本当の自分を取り戻させてあげよう！