ルアン・メェイと話す 
こんにちは。驚かせてしまっていたらごめんなさい。
仕事の癖なんです。接触によって知覚を開放し、生命に関する詳細を脳に流し込む。そうすることで、あなたの生物学的構造を理解しやすくなります。
これは脱構築と再構築の基礎です。おや、緊張しないでください。あなたは健康です。完璧な実験サンプルですよ。私はそういったものが好きなんです。
口元にお菓子のカスが…
えっ、本当ですか？
すみません。あまりにも風景を楽しみ過ぎて、夢中になってしまったようです。
私は宇宙ステーションにはそんなに出入りしてないので、今日この場所を知ったんです。見晴らしがよく、心が落ち着きます。ハスの葉、梅の花、もち米、それからアイシングの香りにぴったりです。
ここにいらしてください。ほら、ブルーの惑星が足元に見えるでしょう？生き生きしていますよね。ああ、このデザートも美味しいですよ。半分どうぞ。
一口食べる。
甘いスイーツは花が咲く姿を思い出させてくれます。一口ずつ食べていくと、その香りが口の中に広がっていくんです。
あなたにも気に入ってもらえるといいんですが。
| ルアン·メエイのお菓子を食べた。 |
美味しいですか？次回はもっと漬けておきますね。スティーブン・ロイドの元を訪ねる時は、いつも苺のお菓子を持っていくんです。そうしないと、顔を出してもらえませんから。
ええ。素晴らしいスイーツですね。角砂糖10グラム、乾燥させた塩漬けの梅の花。焼き菓子作りと料理は、宇宙を育てるようなものです。火加減を調節し、仔細を考え、いかなる状況に遭遇しても…慌ててはいけません。
残念ながら、宇宙ステーションは人が少し多すぎます。喧噪はお菓子に最適とは言えません……
話は変わりますが、あなたは私の「研究」を覚えていますか？
生物と関係があったような…
覚えてない。俺はトイレの物語を研究することしか興味ないんだ。
（……？｝
（どういうことだ…俺は…何を言ってる？）
そうなんですか。可愛い趣味ですね。
ただ、今後同じようなことが起きた時は、事態を理解するまで、表情に出さないようにしてください。さもないと……
…全身が隙だらけになりますよ。
もう一度やってみましょう。まだ何か聞きたいことはありますか？
俺に何をしたんだ…？
美味しいお菓子だな。もっとくれないか？
（……？）
（どうして…思ってることが言えないんだ？）
食いしん坊な方ですね。いいでしょう。レシピを教えてあげます。
私と一緒に歩きましょう。美味しいお菓子を食べた後は、散歩が最適ですよ。暇つぶしにもなりますし。
移動中
人がいなくなると、ここはとても静かですね。まるで、以前行ったことのある「ノーマンズランド」のようです。
あなたは …… 生命が存在しない世界を想像することができまずか？
そこでは、地平線の果てにある恒星が見えます。
巨大なターコイズブルーの恒星が軌跡に沿って動き、万丈の光の下には白くぼんやりした大地だけが広がっているんです。
私と母は静かな氷河を行き、世界中を旅して生命の痕跡を探し、色々不思議な現象に遭遇しました。
移動後
申し訳ありません。少し難しい話をしてしまったようですね。緊張しないでください。私に敵意はありませんし、あなたの言語中枢に手を出すなんて、あまりに失礼です…ただ、ちよっと薬を加えただけですよ。
数日前、私はヘルタに、あなたに興味があることを匂わせました。模擬宇宙での数少ない接触によって、確信したからです。あなたは私の「助手」に相応しいと。
でも、この世界に漏れない秘密などありません。だから私は、自分以外の人間をあまり信用できないのです。緻密な研究をしている時に、間違ったデータが一つでも混入すると、大きなトラブルになりますからね。コントロールできない問題は嫌いなんです。
ですから、あなたに渡したお菓子に「反自白剤」を加えました。体に害はありません。ただ、あなたが私の質問に答えようとすると、本当の気持ちを話せなくなるだけです。
私の研究を守りつつ、あなたの身を守るための、一種の保護機能だと思ってください。一切の面倒事が解決したら、解毒剤をお渡しします。
それに、見返りとして「報酬」も渡しますね。あなたの望みを全て満たしてあげましょう。
面倒事？
はい。私が生み出してしまった問題です。
宇宙ステーションに到着した時に、ヘルタから#29セセルカルが作った「位相霊火」をお借りしました。他のメンバーの研究成果から、ヒントを得たかったんです。
実際にちょっとしたアイデアが浮かんだので、ここで生命体の培養を試みました。
それは一種の…生まれながらにして「天才」である新しい生命体になると思ってました。それらに天才クラブ#8ラムの名前をつけるつもりだったんですが ……
どこで何を間違えたのか、それらは意識を持つようになったものの、天才には程遠い存在になりました。
しかも、私の放任主義は逆効果だったようで、先日、新しく育てた数体の「小生命体」が脱走してしまいました。その後も宇宙ステーションの中で逃げ回っています。
ヘルタやアスターには介入してもらいたくなくて…ですから、あなたにその「小生命体」を回収してもらいたいんです。
💭俺のことは信じてもいいぞ。
💭どうして彼女たちに知らせないんだ？
分かった……
宇宙ステーションのスタッフたちは、まだそれらを訪問客だと思ってるはずです。多くの人を驚かせて、不要なトラブルを起こしたくはありません。
よろしくお願いしますね。回収した「小生命体」はどこかに収容すれば大丈夫です。界種課のスタッフが詳しいはずですから、場所を紹介してもらってください。