夢の中の2つの殺人事件はあまりにも奇妙で、鋭さで有名なハウンド家ですら有効な手がかりを見つけることはできなかった。ギャラガーはこの事件は美しき夢の大物「時計屋」が関わっているのではないかと考え、人々に驚く事実を告げた。
なんと「時計屋」の正体は宇宙に名をはせている大富豪ではなく、ファミリーに陥れられた「裏切り者」であった。
一方その頃の列車組 
ギャラガー、あんたが来るなんて珍しいね。
ちょっと友人が訪ねてきてな。今少し時間あるか、シヴォーン？
あたしなら1日中暇してたよ。いらっしゃい、ようこそ「バー・ナイトメア」へ──
メニューには何でも載ってるけど、スラーダはないんだ。ここではあんなつまらない飲み物なんか置かない。あと、バーの中にあるモノはどれも売り物じゃないの。ここで買えるのは喜びだけ、お客さんの心からの笑顔しか見たくないからね。
何が飲みたい？すぐに用意するよ。
見て、穹、カッコいいお姉さん──セーバルと同じタイプだ！
確かにカッコいい。
セーバルって誰？是非とも紹介してほしいね。
あっ、聞こえてた……
あんまりそいつらをからかわないでくれ、シヴォーン。お前の手を煩わせるまでもない、今日は俺が腕を振るおう。
年を取ったから少しはリハビリしないと、かつての生業を忘れちまいそうだ。飲み物の材料はどこに置いてある？
それなら全部カウンターの下にあるよ。折角遠くからお客さんが来てくれたなら、今日はスペシャルドリンクを振る舞ってあげたら？
ああ、そのつもりだ。お前ら、ちょっと手伝ってくれないか──バーの中を探して、好きな材料を持ってきてほしいんだ。
事件の話をするなら長くなるだろうから、お前らに合ったカクテルを用意してやる──カスタムメイドで、ノンアルコールのな。
バーの中？使える材料は全部カウンターにあるんじゃないの？
ここは夢境だよ、可愛いお嬢さん。あんたが望めば、どんなものでも飲むことができる。安心、飢え、迷い、嫌気…どんなものでもあるの。
ウチのこと可愛いお嬢さんって言ってくれた……！
現実世界でも、カクテルはただの酒と食材の融合じゃない。バーテンダーはカウンターの雰囲気を捉え、技術とストーリーを繋ぎ合わせ、ちょっとした神秘と期待を加える……
そうすることで、お客さんと一緒にそれぞれの人生の味を作りだせるんだ。
つまり──何が飲めるかは運次第ってことだ。ま、あまり深く考えるな。迷いは楽しむ上での大敵だからな。
カクテル用の材料を集める
ギャラガーは皆に場所を選んで引き続き話し合うよう示唆した。そして我々を「バー・ナイトメア」へ連れて行った。そこは煌びやかな夢の中にしては地味でひっそりとした辺鄙な所だ。事件の複雑さを考慮した彼は腕前を披露することにした。交渉が長引かないようにと皆に特製カクテルを振舞ったのだ──この後の20分間、ただ話を聞くだけで何もすることがないとしたら面白くないからだ。
バー・ナイトメアのあちこちにあるカクテル用の材料を探そう。ギャラガーが不思議な魔法でそれらを完璧に調合してくれる。
バー・ナイトメアのあちこちにあるカクテル用の材料を探そう。ギャラガーが不思議な魔法でそれらを完璧に調合してくれる。
バーの中を見て回る
美しい未来への展望
これはカクデルに使えるかな？あれ、下にメモが挟まってる…「大切なものとの交換が必要」だって。
何か出して交換しろってこと？でも何と交換すれば…ていうか、誰に渡せばいいんだろう？
「崇高なる道徳の賞賛」を入れる…
ある形而上学的な方法で、「崇高なる道徳の賞賛」を空のグラスに入れた……
…うわっ、メモの文字が変わった！
「幸福は高尚なる者にこそ相応しい」…つまり、これを持っていっていいってことかな？えへへ、普段からいいことしてると報われるんだね！ありがとう！
カクテルの材料：美しい未来への展望
スラーダ
スラーダだ！あのお姉さん、スラーダは売ってないって言ってなかった？
──振ってみよう！うん、炭酸も抜けてないし、消費期限も過ぎてない！
他の人が持ってきたものかもしれない。
その可能性はあるね。スラーダはどこにでもあるから、誰かが持ってきたとしても不思議じゃないもん。
どうしてこのバーではスラーダを売らないんだろ？何か事情でもあるのかな？
バーテンダーのプライドじゃないかしら。折角来てくれたお客さんが、どこにでもあるような飲み物を注文したらつまらないでしょう？私がコーヒーを淹れる時も同じようなことを考えるわ。
あっ…あはは、姫子の言う通りだね。
結構集まったね！これで足りるかな……
カクテルの材料：クラシックスラーダ
大博打
ここはチップがいっぱい散らばってるね……
何日か前、アイリス家の役者が来てシヴォーンと揉めたんだ…その時に落としたものだろうな。
どれだけ激しい場面だったか想像できる。
ハッ、一方的にボコってただけだけどな。
そういえば、こんな…怪物だらけのところにバーを開いてるのも不思議だよね。もしかしてシヴォーンさんってすごい人？
それは直接あいつに聞いてみるといい。ま、お前があいつを納得させられるドリンクを作らない限り、あいつは何も言わないだろうけどな。
カクテルの材料：大博打
スウィート・ドリームシロップ
見て、このボトル、すっごい綺麗な液体が入ってるよ。ラベルには…「スウィート・ドリームシロップ(超濃厚)」って書いてある。消費期限は書いてないみたいだけど、作られた日は……
…半琥珀紀前！？
こんなの人に飲ませたら大変なことになっちゃうんじゃ……
夢の中では何でも飲めるんじゃなかった？
そう言ってはいたけど…これは…ちょっと……
あたしのコレクションのシロップが気に入ったの？大丈夫、ここは夢の中だから、お腹を壊したりはしない。ずっと置きっ放しにしてたけど、味は保証するよ。遠慮しないで持っていって、あんたたちみたいな可愛いお客さんをもてなすのにはちょうどいいからさ。
じゃ…じゃあ、とりあえず持っていこっか。
カクテルの材料：スウィート・ドリームシロップ
材料を集め終わった後
──どいて！シヴォーンに用があるの！
えっ、何の騒ぎ？
騒ぎを調査する
…アミーチ、言わなかったっけ？「バー・ナイトメア」が歓迎するのは、心から飲み物を楽しみたいと思ってるお客さんだけ。悪いけど…あんたの提案に興味はないの。
でも、あなたには才能がある！きっとみんなの注目を浴びれるわ…あなたはアイリスのステージに立つために生まれてきた人。こんな寂れた場所で燻ってるべきじゃない！
一緒に行きましょう！私たちならきっとピノコニーで最も注目されるスターになれる。夢境の隅々まで光で照らすのよ！お願い、シヴォーン。あなたが必要なの……
……
…見ての通り、今はお客さんの相手をしてるの。何度も同じことを言わせないで。
わかった…首を縦に振らないなら、私もどこにも行かないわ。炭酸入りの飲み物をちょうだい。甘いやつで、氷をたくさん入れてね。
ちょっと待ってなさい。
どうしよう…あの人にカウンターを占領されたら、事件について話せなくなっちゃう。
穹…さっき使った「クロックトリック」…もう一度やってもらっていい？
なんで姫子まで……
時間がないの、急いでちょうだい。
うん、任せたからね。
アミーチに対して「クロックトリック」を使う
あなたがシヴォーンのお客さんね？何か用？私を帰らせようとしても無駄よ。彼女が私のお願いを聞いてくれない限り……
一体どうして？どうして彼女はここから離れようとしないの…こんな寂れてボロボロのバーなのに……
シヴォーンは「どんなものでも飲むことができる」と言っていた…異なる感情でどんな材料ができるか、色々試してみてもいいかもしれない。
怒り
──全部アイリス家のせいよ！アイリス家の人たちがシヴォーンを追い詰めたから、彼女はここに隠れてモンスターバーを開くしかなくなった…何もかも策略と陰謀のせい！
あっ…わかったかも。彼女はここを離れたくないんじゃなくて、ただあの卑怯者たちに会いたくないのね！
私なら…彼女のために道を用意してあげられる──彼女の力になってあげられる！帰ったら夢の主に手紙を書いて、アイリス家の罪を告発するわ…そうすればシヴォーンもきっと私に感謝するわよね！
（このまま話を続けさせたら大変なことになりそうだ…他の方法を考えよう）
喜び
見えた…私とシヴォーンが一緒のステージに立つ瞬間が見えたわ。
観客たちは拍手していて、歓声が大波みたいに押し寄せてくる。ゆったりとしたメロディが響き渡り、カラフルな紙吹雪が肩に落ちる。辺りにはアイリスの香りが漂っていて、ああ…なんて甘美な光景なのかしら。
この光景は何度も見てきた。夢の中だけど、いつも私を魅了する。だからこそ、なんとしても彼女をあの世界に連れ戻したいの。
ねえ、乾杯しない？聞き上手な見知らぬお客さん。この…手の届かない夢の前祝いってことで。
アミーチはピカ白ぶどうソーダをグラスに注いだ。グラスの縁を軽く当てると、軽快な音が響く。
（まだいなくなりそうにないな…もう1回やってみるしかないか）
カクテルの材料：ピカ白ぶどうソーダ
悲しみ
…おかしいと思うでしょう？私たちの人生は平行線を辿ってるのに、それでも彼女を諦められずにいるなんて……
私は臆病で、弱虫で、光り輝く場所に憧れてるのに、スポットライトの下に立つ勇気がない。私には彼女の導きが必要なの。私だけじゃ何もできないから……
あなたはシヴォーンの過去を知らないでしょう。彼女が…どんなに輝いていたか。スーパースターがひしめくアイリス家でも、彼女の才能はズバ抜けてるのよ。
わかってるわ…シヴォーンは私が彼女の名声を借りて売れたがってるって思ってることくらい。でも私はただ、彼女をあの場所に戻してあげたいだけなの……
苦味と甘味が入り混じったような不思議な感覚が空気中に広がっていく。次の瞬間、その感情は液体となってグラスに注がれた。
カクテルの材料：永遠の忍耐
クロックトリックを3回使った後
はあ…あなたと話してたら、なんだか落ち着かなくなってきた。色んな思いが混ざり合って、スッキリしたような、泣きたいような……
もしかしたら…どこかで考え直すべきなのかもしれないわね。私にとって、シヴォーンが何を意味するのかを……
これは飲み物代よ、彼女に渡しておいて。私はもう行くわ、それじゃあね。
アミーチが去った後
…アミーチは帰ったの？
これが彼女のためでもあるんだよね…宴の夢は魅力的だけど、夢は夢であって現実じゃあない。彼女の飲み物はあたしの奢りだから、そのお金はあんたたちが取っておいて。
準備ができたらギャラガーのところに行きなさい──今頃ウズウズしてると思うから。
追加会話
ピノコニーのバーテンダー、特にギャラガーを甘く見ない方がいい。この人は魔法使いみたいで…お客さんがどんな難しいリクエストをしようと、ぴったりの味を作り出しちゃうんだから。
折角の機会だから、ギャラガーに難題を吹っ掛けてやりなさい。
ギャラガーと話してカクテルを作り始める
あれこれ言ったが、カクテル作りはお前が思うほど複雑じゃあない。好きな材料を選んで、全部ぶち込んで混ぜるだけだ。
バーの中を見て回って、好きな材料を持ってこい。決まったら俺に声をかけてくれ。
材料が揃った。
へえ、早いじゃないか。どれどれ……
…面白いものを持ってきたな。さあ、選んでくれ。
それぞれの飲み物には独特のフレーバーがあって、普通はベースとなる材料から第一印象と後味の余韻を決めるんだ──どの材料をベースにしたい？
スウィート・ドリームシロップ
ふん、ピノコニー中を探しても、これより甘ったるい飲み物は見つからないだろうな。だが、今の夢追い人はこれが好きらしい。
ベースを選んだら次は副材料だな。こいつはベースと不思議な化学反応を引き起こすんだ。主張しすぎるのはダメだが、忘れられない味覚体験をもたらすものである必要がある。どの材料を使いたい？
美しい未来への展望
美しい未来…この味は久しぶりだな。
ずっと忘れられないことがある。ミハイルに連れられて夢境の荒野を馬で疾走してた時、憶質の風の中に、この味が包まれていたんだ。あの時間は魂を揺さぶるようで…あり得ないくらい美しかった。
ミハイル……？
これでいいな。次は飾りを選んでくれ。どんなスタイルが好きだ？ここには何でもあるぞ。
同心円のストロー
よし、完成だ……
この「エルドラド」でお前に敬意を示そう、夢追い人──
──金色の美しい夢に、乾杯。
やるじゃない、ギャラガー。腕は鈍ってないみたいだね。
お前ら、満足してもらえたか？
この味…スラーダよりずっと複雑だね。
豊かな味わいで、何重にも広がっていく…まさに傑作ね。特に副材料の扱いが素晴らしいわ。何か特別な風味が感じられる。辛くて、酸っぱいけど、ほんのり甘い……
これが何を意味するのかはわからないけど、ギャラガーは自分のコンセプトを説明してくれるのかしら？
残念だが、もし深い答えを期待してるなら、ガッカリすることになるぞ。
それの持つイメージはとてもシンプルだ…それは美しい夢の本当の味、それ以上のものはない。
この本当の味って…そのミハイルって人と関係があるの？
ミハイル……
そうだ、どっかで聞いた名前だと思ったら…穹があの仮面の愚者の女の子に気絶させられた時、誰かがその名前を呟くのを聞いたんだよね？
……
へえ…いろいろ知ってるみたいだな。やっぱり俺の目に狂いはなかったようだ。これで正直に話さない理由もなくなった……
さあ、事件について話そう。勿論…そのミハイルに関する話もついでにな。
事件について話す
結論から言おう。ファミリーが持っている手掛かりによれば、そのホタルって女の子は地元の人間でも、招待を受けてやって来た客でもない。つまり…彼女は正真正銘の密航者だってことだ。
俺も彼女に騙された…本当に年を取ったもんだな。だが宴の星では、密航はそれほど珍しいことじゃないし、捜査も難しくはない。事件の後、ハウンドたちはすぐに行動を起こし、夢境と現実世界の両方から追跡を開始した。
ところが結果は…悪い知らせが1つ舞い込んできただけだった。しかも、とんでもなく悩ましい知らせがな。
その娘は忽然と姿を消したんだ。夢の中には何の痕跡も残ってない、現実世界でも一向に体が見つからない。まるで最初からピノコニーに来ていなかったかのように。
えっ？それってつまり……
「死」が完全に彼女を消した？
いや、それはあり得ない。問題は彼女が死んだことじゃなく、そもそも現れたことがないようになってるってことだ。
ハッキリ言うが、彼女の状況は…お前らはおろか、ハウンド家にとっても初めてのことなんだ。
「初めて」…それはつまり、ピノコニーには確かに「死」が存在するってこと？
見られた以上、もう隠す必要もないな…街には華やかな一面もあれば、人には言えないような裏の面もあるってことだ。大人の世界のことは詳しく説明するまでもないだろ？
この程度のことでファミリーに疑いをかけるのは単純すぎる。夢の中にも予期せぬ死はあるが、それがどうした？そんな極めて低い確率で起こる事件が影響するのは…ごく少数の人間に限られてる。
本当にこの事件について詳しく調べたいなら、ファミリーの本当の「困難」を理解することだ。
そこでさっきの「ミハイル」の話に繋がるのね？
鋭いな。星穹列車もあのオルゴールを受け取ったんだろ？中にどんな秘密が隠されてるか知ってるか？
「夢の中で不可能を見届け、ピノコニーの父『時計屋』の遺産を探し出し、『生命体はなぜ眠るのか』という問いにお答えください」というメッセージがあったわ。
1文字も間違ってないな。
ちょっと、何笑って…まさかアンタが書いたの？中々文才あるんだね。
俺は事件を捜査してる保安官だぞ？知らないわけがないだろう…お前らだって、このメッセージがファミリーから出されたものじゃないことに──もっと言えば、両者の関係がそれほど良好ではないことに気づいてるんじゃないか？
まだ推測の域を出ないけど…正直、ピノコニーの父 が実質的な管理者 とそこまで折り合いが悪いだなんて、信じ難いもの。
そうか、なら教えてやろう。その推測は正しい。
ファミリーはずっと前から「時計屋」を敵視していたが、彼は神出鬼没で、ハウンドたちも中々捕まえられずにいたんだ。あの人は…まるで自分が作り上げた商業神話の中にしか存在しない人物かのようだった。
そこで、さらに聞きたい。「時計屋」は外の世界にそういう冗談めいた情報を流して、あんたらを招き、ここを混乱させている。何故ファミリーがそれを容認しているのか、考えたことはあるか？
あんたたちは、この機会を利用して「時計屋」の尻尾を掴もうとしてるの？
今なら、何故オーク家がナナシビトに調査の協力を依頼しておきながら、あんたらに色々と隠し事をしていたのかもわかるだろう。
…それは「時計屋」は夢の地の伝説なんかじゃなく、ピノコニーの分家史上最大の汚点であり、すべての夢境の異変の発端だからだ。
…ミハイル、ファミリーの裏切り者──彼こそが有名な「時計屋」なんだ。
しばらくして……
ほら──「クラークフィルムランド」、ピノコニーで一番人気の映画エンタメセンターだ。
「時計屋」の話をするんじゃなかったの？資料室みたいなところにでも行くのかと思ったのに、なんでこんな場所に……
街の文化ってのは歴史において最も信憑性のある注釈だ。お前からしたらここは遊び場かもしれないが、俺の目には監獄に見える。この星の過去を閉じ込めるためのな。
ピノコニーが昔カンパニーの監獄星だったことは知ってるだろ？囚人たちはここに送られ、ガーデン・オブ・リコレクションのために大ホールから漏れ出した憶質を回収していた……
そして、長期的に高濃度の憶質に晒されていた監獄では、ある特殊な現象が生じた…無数の個体の夢が交錯して、人々は夢の中で出会い、現実世界のような生活を送るようになったんだ。
だが、何事にも代償はある。美しい夢も例外じゃない。結局、夢境も人々の現実世界での苦しみを解消することができずに…1人の囚人の導きによって、辺境の監獄はカンパニーの鎖を断ち切り、自由のために戦い始めたのさ……
…彼こそが「ブラザーハヌ 」だ。夢境の街の兄貴分、平和の立役者にして、弱き者の永遠の仲間。
『クロックボーイ』ってドキュメンタリーだったんだ…
歴史とは常に勝者によって書かれるものだが、芸術的な編纂を除けば、『クロックボーイ』はピノコニーの歴史を背景として創作されたアニメだからな。これは紛れもない事実だ。
このキャラクターたちは美しき夢の町の中だけじゃなく、遥か遠い過去にも生きていた。それがわかれば…俺たちがどうしてここに来たのかもわかるだろう。
クラークフィルムランドに入る
ギャラガーは事態を理解しやすいようにと、楽しみながら学ぶべく、我々をクラークフィルムランドへ連れて行くことにした──そこのアトラクションを教材にして、ピノコニーの歴史の授業をしてくれるらしい…明らかに疲れているが、もうしばらく眠ってしまわないことを祈る。
この辺りはハウンド家の人がたくさんいるんだね……
封鎖命令が出たばかりだからな。あのサンデーが直々に下したらしいが、一体何をするつもりなのか……
奥へ進む
ほう…随分と大掛かりだな。容疑者を追う時でも、ここまで力を入れたことはないぞ。
外から見ただけでも圧倒されそう。
ファミリーの手によるものだからな。「存護」を信仰する連中を除けば、壮観な景色を作り上げることに関しては奴らが一番だ。
さあ、静かな場所を探して話を続けよう。
場所を変える
ここにするか。見晴らしがよくて、ちょうど彼の姿も見える……
…「クロックボーイ」。
そのアニメキャラたちが現実世界にもいるのなら、あのクロックボーイに対応するのは間違いなく「時計屋」ね。
彼はブラザーハヌの仲間で、美しき夢の町の初期メンバーの1人だった。つまり歴史上の「時計屋」自身も、その戦争に加わり、しかもアスデナ側に立っていたことになるんじゃない？
それは壮大な独立戦争だった。仮面の愚者、ナナシビト、虚構歴史学者、弔伶人、厄災前衛…ハヌヌは多くの仲間と他の星から来た客の助けを借り、戦乱を平定した。
当然、その中には後の「時計屋」も含まれている。
でも、そうなると…「時計屋」は何百年も生きてるってこと？
わからない。俺がミハイルと知り合った時、彼はすでに「時計屋」だった。多分名前を引き継いだんだろうな。
…保安官さんって何歳なの？
……
…13歳。
どう見ても無理があると思うけど！？
ハヌヌは辺境の監獄を解放したが、平和を見ることなく去ってしまった。乏しい資源、虎視眈々と狙ってくる外敵、まとまりのない各監獄エリア…アスデナの未来は依然として危ういものだった。
だが、歴史上の「時計屋」がその監獄を賑やかな宴の星に変えようと、ファミリーに協力を求め…「ピノコニー」はようやく今の名前を手に入れ、星々に向かい合うステージに立ったんだ。
だから彼は「ピノコニーの父」と呼ばれているのね。
でも、さっきの説明で「時計屋」はファミリーの裏切り者だって言ってたよね？しかもアンタは彼の仲間だったって。それってつまりアンタも……
俺は彼の仲間じゃない。数多くいる彼の「子供」の1人だ。
だが、確かに俺も裏切り者ではあるな。裏切った相手はファミリーじゃなく…ミハイルだが。
…何をしたの？
俺は何もしていない…それこそが最大の裏切りなんだ。
かつての俺には、あんたらと同じように背中を預けられる仲間がいてな。一緒にピノコニーのために心血を注いでいたんだが、「オーク家」は…そんな俺たちに不義を働いたんだ。
ミハイルは年を取ってたから、もう自分の子供を守ることができなかった。そして俺たちはファミリーから離れ、自分たちの道を模索したが、「調和」の裏切り者となってしまった…本当の裏切り者は他にいたにも関わらず、な。
奴らは対外的には「時計屋」の名声を讃え続けていたが、裏では密かに彼を誹謗中傷して辱めていた。
それでも、俺たちは彼の名誉を取り戻したいと願っていた。本物の裏切り者、すべての黒幕さえ見つけ出せば、ビノコニーの「調和」は正しい軌道に戻ると思っていたんだ……
…だが、俺たちは負けた。長い時間が経ち、夢の地が受けた影響はあまりにも深刻で…終わりのない追撃の中で俺は諦めたのさ…まるで負け犬みたいにな。
ファミリーは再び俺を受け入れ、保安官の仕事を与えてくれた。表向きは許されているが、実際のところこれは罰だ。それ以来、俺は仲間…そして俺の過去と完全に決別した。そしてミハイルは……
彼は誰にも気づかれない、誰にも見つからない場所で死んだらしい。それを聞いた瞬間、かつてのピノコニーは二度と戻らないんだと俺は理解したんだ。
とても気の毒な話だと思うけど…事はそれほど単純ではないんでしょう？
ふん…どうやら「時計屋」の名を継ぎ、密かにファミリーへの反抗を続けてる奴がいるらしい。
その人は誰なんだ？
残念ながら、これだけの年月が経っても、俺はまだそれが誰なのか掴めてない。それどころか、そいつが果たして人間なのか…それともミハイルの幽霊が夢の中を彷徨っているのかすらわからない。
これでわかったか？なんで俺がここまでお前らに話したか…あの娘の死はきっと「時計屋の遺産」に関係しているからだ。そして、謎の霧に包まれた先……
…俺たちが探している答えは、そこにある。
それが本当にミハイルの幽霊の仕業なら、ちょっと会ってみたい気もするな。俺を見下す奴はごまんといるが、対等に接してくれる人は…はあ、どんどん減ってるから。
さて、俺の知ってることは全部話した。お前らがこの老犬を対等に見ようとしてくれた礼だと思ってくれればいい。
…うん？スタジオの方で何かあったみたいだな…俺はもう行く。お前らの幸運を願ってるぞ。
皮肉なもんだな。今ピノコニーから門前払いを喰らってる密航者たちと、数琥珀紀前に開拓者として称えられた夢追い人たちに…何の違いがあるっていうんだ？
ギャラガーが去った後
ギャラガーって…やっぱり色んな経験をした人だったんだね。
ホタルの行方は謎のままだけど、彼の話を聞いて多くの疑問が解けたわ。「時計屋」の正体、ファミリーとの関係、そして美しい夢と死の裏に隠された権力闘争。
💭それから…ファミリーが一枚岩ではないこともな。
💭それから…「死」は時計屋と関係があることもな。
💭それから…クロックボーイが時計屋であることもな。
大体これくらいかな。
今回の調査で、これまでに立てた推測を検証できたわ。でも、もっとよく考える必要がありそう。穹、ヴェルトにメッセージを送って、向こうの状況を聞いてみましょう。
チャット
