開拓者の視点に戻る…… 
選べるチャンスがあるのなら、悔いのない選択を。
鋭い叫びが聞こえた後、濃厚で強烈な憶質があなたの胸になだれ込んだ。あなたの意識は渦の中の紙切れのように破れ、逆巻く濁流の中に溶けていく。
無数の声が憶質を貫き、雷のように轟く。その中でも、一つの音が鮮明に聞こえてきた。あなたは知っている、それは隣にいる少女から発せられているものだと。あなたたちの心臓は同じリズムを刻み、周囲が段々と静かになっていく……
そして静寂に包まれた暗闇の中で、記憶がさざ波を起こす……
すべてが原点に戻った。以前、ここから「黄金の刻」に入った君は…今度は本当の「ピノコニー 」に足を踏み入れることになる。
もう一度君に同行できて本当に嬉しい。やっと全部君に話せる。見ての通り…あたしのもう1つの名前は、「星核ハンター」サムなんだ。
お前…大丈夫だったのか？
大丈夫…ごめんね、あまり驚かせてないといいんだけど。
疑問だらけなのはわかってる…あたしたちが知らない夢境の中で「死」に遭遇したことは覚えてる？あの時、あたしはミームに捕まって……
あれがあたしを殺そうとした瞬間、その恐ろしい瞳の中に「もう1つの夢境」の影を見たの。
あたしは「脚本」のヒントをもとに、そのミームについていくつか推測した。そこで銀狼に招待状を出してもらって、みんなを夢の中のホテルへ誘い込んだんだ……
本当は君たちの前で「死」を呼び出して、もっと直接的な方法で真実を伝えようと思ってたの。でも、そんな考えとは裏腹に、あたしは「脚本」に背くことができないばかりか、君に説明する時間すらなかった。
君が見た通り、あたしは「死」の刃に貫かれた。濃い憶質の重圧…それが頭の中で弾けて、まるで現実みたいだった。
でもね、その一瞬の麻痺が消えた後、自分の体が無傷だってことに気づいたんだ。
やっぱりあたしは生きてた。そして思った通り、「美しい夢」とはまったく違う場所に辿り着いてたの。ピノコニーの夢境の下にはもう1つ、もっと原始的で、混沌とした記憶域が隠されてた。その名前は…「流刑の地」。
そこであたしは夢境のホテルに戻って、その存在を君に伝えようとした。でも…まだ自分の正体を明かすわけにはいかなかったから、どうにかして君の同行者の注意を逸らして、君を戦場から連れ出そうとしたの。
だけど…あたしの試みは全部失敗に終わっちゃった。ついさっき、血みたいに赤い斬撃が夢の高い塀を切り裂いて、君たちをこの深い夢境に落としたことで、やっと君や仲間たちを1人ずつ目覚めさせることができたんだ……
これが今までに起きたことの全容。
完全に理解した！
…全部を無条件に信じるのは難しいかもしれないけど、これだけは言わせて。君は今、最後の答えにすごく近いところまで来てる。あと一歩で、あたしは君に証明できるの……
それじゃあ…ここから出よう…目を閉じて。
そのまま深呼吸して…心の中に夢境の輪郭を描いて。絶対に…目を開けちゃダメだからね。
3……
2……
1……
怖がらなくて大丈夫、あたしたちの迎えが…来たから。
鋭い叫びが聞こえた後、濃厚で強烈な憶質があなたの胸になだれ込んだ。あなたの意識は渦の中の紙切れのように破れ、逆巻く濁流の中に溶けていく。
無数の声が憶質を貫き、雷のように轟く。その中でも、一つの音が鮮明に聞こえてきた。あなたは知っている、それは隣にいる少女から発せられているものだと。あなたたちの心臓は同じリズムを刻み、周囲が段々と静かになっていく……
そして静寂に包まれた暗闇の中で、記憶がさざ波を起こす……
ホタルの回想
君にこんなことができるなんて知らなかった。
……
…運転免許、持ってるの？
ああ。
それはなんていうか…意外だね。
なぜだ？ここが罪悪の都市ヤペラーだからか？
う〜ん、いや…何でもない。
ただ、もう君は20システム時間も寝てないなって思って…大丈夫？
大丈夫だ、死ぬことはない。俺もお前も同じだ。
……
あたしはどうかな…あ、やっぱりスピード落として。
潜入成功だ、いつでも「サム」を起動していいぞ。
「脚本」の次のシーンまでまだ時間がある。もう少しだけ、この体でいさせて。
そして長い沈黙が続く。2人はこの沈黙に慣れているかのように、もう何も話さなかった。
車内から柔らかな溜息が聞こえたのは、かなりの時間が経った後だった。
長いトンネルだね、出発した時はこんなに長いと思わなかった。
半システム時間後、このトンネルが俺たちをカフカのところまで導いてくれる。その後、ヤペラーブラザーフッドは滅亡する。
それも全部「脚本」なの？
お前の「脚本」の中にもある。
え、ごめん、気付いてなかった。
お前が故意に無視しようと、あいつらの運命は変わらない。
……
言ったはずだ、悪い癖だと。
じゃあ君は？今度こそ、君が望む「死」を手に入れられるの？
いつも通り空白だ…俺が求めるものはこの星にはない。なぜ急にそんなことを聞く？
疲れた運転手の車に乗ってるからだよ…あたしは無事に目的地に辿り着きたいの。
……
この車には自動運転機能が付いている。俺はハンドルに手を置いているだけだ、これでいいか？
冗談なのに。
…エリオはいつも、「運命は1つだけで、誰もそれを避けることはできない」って言ってるよね。あの人には未来が見えて、あたしたちも…同じように自分の「定められた結末」を知ってる。
でも、その瞬間が訪れるまで、人は自分の意志でやりたいことを選択できる…あたしたちにはその権利がある。そうでしょ？
今日が終われば、ヤペラーの名は銀河の歴史から消える。そして永火官邸が奴らに取って代わり、近い将来、招待状を受け取るだろう……
それが、お前の次の目的地だ。
夢の地、ピノコニー。
そこでお前の求める答えが見つかること…あるいは、解脱を得られることを祈っている。
真のピノコニーで目を覚ます
はあ、君が無事で本当によかった。
ここは……
「目を閉じる」…それが答えなんだ。不思議だよね。あたしたちがずっと「死」と思ってた怪物は、本当は流刑の地の番人なの。あれはある特定の法則に従って、美しい夢に浸っている人を連れ去り、ここへ連れてくるんだよ。
俺たちが悩んでいた「夢境の中に本当の死は存在するのか」という問題は、どうやら黒幕が仕掛けた思考の罠だったらしい。人々の失踪の真実、そして…この「ドリームリーフ」と呼ばれる城塞を隠すためのものだったんだ。
あのミームの出現はすべて「時計屋」に関係している。ドリームリーフが人々を連れ去る目的地なら、俺たちを悩ませ続けてきた多くの疑問についても、ここで解決の糸口を見つけられるに違いない。
ここの雰囲気は美しい夢とは全然違う。みんなゆったりとした生活を送ってて、ファミリーみたいな管理者は存在しない。精神状態も少しぼんやりしてる……
でも、住民たちの断片的な言葉の中に、聞き覚えのある名前があったの…「ギャラガー」っていう名前がね。
またその男か。いつも肝心な場面で都合よく現れるな…おかげで探す手間が省けるが。
姫子となのかは先に行っている、俺たちも気を取り直して出発しよう。
（本当の夢境、流刑の地…出発前にみんなともう少し話した方がいいかな？）
ホタルと話す
ごめんね。全部を君に話せるようになるまで、こんなに時間が掛かっちやって……
💭どうして正体を明かさなかった？
💭星核ハンターも遺産を狙ってるのか？
💭結局、サムって一体……
話はこれくらいにしておこう。
ドリームリーフの時間の流れは現実世界とは違うから、くれぐれも注意してね。君は憶質に敏感だから、少しでも気を抜くと…この記憶域の中で迷っちゃうかもしれない。
ヴェルトと話す
何か気になることがあるなら、ちゃんと一緒に話し合おう。
💭黄泉の斬撃は……
💭ギャラガーをどう見ればいいのか……
💭ホタルと列車の仲間について……
話はこれくらいにしておこう。
君の気持ちが落ち着いたならそれでいい。準備ができたら出発しよう。
道中にいる人々
ぼんやりした流浪者
憂鬱な流浪者
愉快な流浪者
路地を進む
ホタルはこれまでの自分の怪しい行動の裏にあった、根深い問題について説明した。そしてファミリーが「悪夢」──美しい夢の外にある原始の記憶域──と称して人々に知らしめている「ドリームリーフ」に忍び込めるよう、あなたを導いてくれた。その行動によって、「死」の真相の一部も明らかになる。すなわち「死」とは、美しい夢との往来を望む人々を助ける、飼い慣らされたミームでしかないということ、そして「目を閉じる」行為とは、それを呼び出すための奇妙なまじないに過ぎないということだ。
しばしの不快感の後、気づけば荒廃した旧市街に辿り着いていた。人々と話して準備を整えたら、今回の廃駅下車の旅に出よう。
しばしの不快感の後、気づけば荒廃した旧市街に辿り着いていた。人々と話して準備を整えたら、今回の廃駅下車の旅に出よう。
この路地を進むとエレベーターが見えてくる。それで流刑の地の中心まで行けるから。
これほど巨大なクロックボーイが……あの「時計屋」もドリームリーフに力強い痕跡を残したようだな。
エレベーターを待つ
ホタルはこれまでの彼女の怪しい行動の裏にあった、根深い問題について説明した。そしてファミリーが「悪夢」──美しい夢の外にある原始の記憶域––と称して人々に知らしめている「ドリームリーフ」に忍び込めるよう、あなたを導いてくれた。その行動によって、「死」の真相の一部も明らかになる。すなわち「死」とは、美しい夢との往来を望む人々を助ける、飼い慣らされたミームでしかないということ、そして「目を閉じる」行為とは、それを呼び出すための奇妙なまじないに過ぎないということだ。
エレベーターに乗り込むと、カゴの古い部品がギーギーと音を立てる。まるで在りし日の魂が弱々しく嘆いているかのようだ。この「悪夢」の奥深くで、一体何が待ち受けているのだろうか。
エレベーターに乗り込むと、カゴの古い部品がギーギーと音を立てる。まるで在りし日の魂が弱々しく嘆いているかのようだ。この「悪夢」の奥深くで、一体何が待ち受けているのだろうか。
信じられない。ファミリーの目の届かないところで…夢境にまだこれほどの規模の居住地があったとは。
エレベーターから降りる
この城塞の雰囲気…美しい夢とは全く違うな。
初めて見た時はあたしも驚いた。ここの空って、まるで…12の夢境が反射した影みたいだよね。
もっと不思議なのは、ここも貿易エリアと居住エリアに分かれていて、質素だけど何もかも揃ってるってところかな。かなりの人数がここで生活してるみたい。
2つの夢境は雰囲気こそ異なるが、建物のスタイルに大きな違いはない。まるで同じ建築家の作品のようだ。この類似性の裏にある繋がりも気になるところだが……
ふむ…考えていても仕方ない、とにかく姫子たちと合流しよう。
この道を右に曲がると貿易エリアだよ。そこなら人が多いから、彼女たちの居場所を知っている人がいるかもしれない。
君は一緒に行かないのか？
星穹列車の人たちは、まず仲間内で話し合う必要があるでしょ？あたしはその間にギャラガーさんを探してみる。
…わかった。後で連絡を取り合おう。
ホタルが去った後
行ったか。ホタルさんが本当に信用に値する人物なのか判断するには、もう少し注意して見ておく必要がある…が、その前に話したい人がいるんだ。
一緒に行こう、君も気づいてるだろう？
さっき見かけた……
ああ、あそこだ……
ホテル・レバリーのドアボーイ、どうして彼がここにいる？しかもよりによって、黄泉さんが夢を切り裂いてから、それほど経っていない今という時に……
念のため、確認した方がいいだろう。
ミーシャに状況を確認する
扉を開けると、素朴で静かな広場、そして色褪せた巨大な双塔が目に入る。別行動を取ることにしたあなたたちだったが、直後、見覚えのある人影があなたとヴェルトの視界に飛び込んできた──「ホテル・レバリー」のドアボーイが、どうして「悪夢」の中に？この異様な光景を放置したら、今夜安心して寝付けないかもしれない…あなたたちは彼に声をかけてみるという意見で一致した。
あれ、この前のお客様じゃありませんか。また会いましたね!お隣の方は…あっ、自己紹介を忘れてました。ボクはドアボーイのミーシャといいます！
こんにちはミーシャ、俺はヴェルトだ。夢に入る時にも会ったな……
…ん？隣にいるのは……
チクタク！馴染みのトモダチと新しいトモダチ、ハイタッチしよう！
ヴェルトには彼が見えるのか？
君は…記憶域ミームか？
そうじゃありません。クロックボーイはボクの友達です。ボクたちの家はここにあるんです。
お客様たちはどうやってここに来たんですか？この夢境は外部には開放されていないはずなのですが…もしかして「ネム」が？
今、ここに家があると言ったか？
はい。なので、いつも美しい夢での仕事が終わったらここに帰ってくるんです。以前は簡単に移動できたんですが、自由に往来できなくなってからは、ずっとネムがみんなを連れて2つの夢境の間を行ったり来たりしてくれてるんですよ。
その「ネム」というのは…どんな見た目をしているのか教えてもらえるか？
えっと、ネムは記憶域ミームで、大きな目がたくさんあって…見た目はちょっと怖いかもしれません。でも実際は従順で…あっ、あと、ネムの面倒はずっとギャラガーさんが見てくれてるんです。
なんでまたギャラガーが…
今の説明を聞くに、そのミームが「死」であることは間違いない。ファミリーは悪夢と見なしているが、こちらの住民にとっては…事実はまったく異なるようだ。
し、死って言いました？夢の中に死なんてあるわけないじゃないですか。確かにネムは凶暴で、たまに罪のない旅行者を間違って連れてくることもありますけど、絶対に危害を加えることはありません！
それなら、この数日でそいつがゲストを連れて帰ってきたかどうか教えてくれないか？実は、俺たちは夢の中で起きた失踪事件について調べてるんだ。
そうだったんですか…それならギャラガーさんと話したほうがいいと思うんですが…ギャラガーさんは今オーク家からの訪問者の相手をしているそうで、邪魔しないようにという指示が出ているんですよね……
えっと、ヴェルトさん、アナタたちが探してる人って……
もしかしてロビンさんですか？
…やっぽりか。ホタルさんの例があるから、これも予想の範囲内だな。
ロビンさんを探してるなら、ボクが案内しましょうか？外からのお客様には会っても構わないと、ロビンさんから言われていますので。
それは助かる。あと、はぐれた仲間を探してるんだ。赤い髪の女性で、ピンクの髪の女の子が一緒にいるはずなんだが、何か心当たりはないか？
えっと、それはわかりませんね…でも安心してください。ドリームリーフは美しい夢のように大きくも賑やかでもありませんが、治安はとってもいいですから！
こういうのはどうですか？お客様たちがドリームリーフを訪れるのは初めてのことですから、ボクがガイド役になって、まずはお連れの方を探しましょう。それから一緒にロビンさんに会いに行くんです。
ロビンさんは子供たちに会うため、グリッサさんのところに行きました。しばらくはそこにいるでしょうから、時間的にも間に合うかと。
わかった、それでいこう。
ヴェルトと話す
これでピノコニーを騒がせていた2件の殺人事件の答えが出たな。だが、黒幕の意図は…さらにわからなくなってしまった。
オーク家からの訪問客には注意した方がいいと思う。
ああ。そして、その人物はギャラガーと深い関係があるはずだ。そうでなければ人目を避けて会う必要はないからな。いずれにしろ、まずはギャラガーを見つける必要がある。
ところで、君は前に自分だけに見えるクロックボーイに会ったと言っていたな？
さっきのあいつだ。
なんだか不思議な感じだな。まさか俺の子供心も……
いや、そんなことは重要じゃない。とりあえずミーシャについていこう。
ミーシャとドリームリーフを探索する
ミーシャはドリームリーフに自分の家があると明言した──それが本当だとしたら、ホテル・レバリーの待遇はあまりにも酷すぎる。しかし、純粋なミーシャはそんなことなど気にも留めていないようだ。それどころか、彼はあなたたちが困っていることに気づき、はぐれた仲間を探すためのガイド役になって、ついでにこの寂れた街を案内してくれると言った。さらに、よく知る友人──ロビンに会うチャンスもあるというではないか。
だが、まずは三月なのかと姫子と合流する必要がある。グズグズしている暇はない、ミーシャについて行こう。
だが、まずは三月なのかと姫子と合流する必要がある。グズグズしている暇はない、ミーシャについて行こう。
見てください！ここではドリームリーフの一番素晴らしい景色を眺めることができるんです──
ブラックホール？いや、憶質が集まって形成された降着円盤か…ドリームリーフはこんな不安定な憶質の上に作られているんだな。
え？ヴェルトさんも憶質動力学がわかるんですか？実はボク、この大きな空洞をどうやって紹介したらいいか悩んでたんです。憶質動力学を知っているなら、お二人はきっとクメイさんと話が合うと思いますよ！
クメイと話す
ほら、彼女はあそこにいます。
やっと計算できた。あと10システム時間後には、上の美しい夢が下の夢を吞み込んでしまう！私の推測は正しかった。この場所は存在しなくなり、美しい夢がすべてを吞み込む……
あら？あなたたちは？ここはもう消えてしまうのに、どうしてまだ残ってるの？
ここで何をしてるんだ？
私はドリームサーベイヤーのクメイよ。専門は憶質動力学で、今は自分の生涯をかけた研究課題に取り組んでるところなの。
あの大きな空洞が見える？何年も前はただの亀裂だったんだけど、今では大きな穴になってる。この付近の憶質は、ずっと一定の速度で空洞の向こう側へゆっくりと流れていってるのよ。
でも恐ろしいことに…私の計算だと、最近憶質の流れる速度が変化していて、前よりも速くなってるの──まるで…まるで何かが大きな口の向こう側から吸い込もうとしてるみたいに！
ラザリナさんの憶質測量法に改良を重ねて、ようやく正確な結果を導き出せたわ──
10システム時間後、ドリームリーフは消滅する！氷山が溶けてなくなるように、すべてが崩れ去って、空洞の向こうの美しい夢の欠片と一体化するの！
えっと、心配しないでくださいね。こういうことは今までに何度もあったんです…クメイさんは悪い人ではないんですが、ただちょっと…別の世界に浸ってるというか。すぐに自分の計算が間違っていることに気づくと思います。
それよりも気になることがある。君が言った「ラザリナさん」だが……
あら、あなたも彼女のことを知ってるの？それとも憶質動力学が好きなのかしら？
俺たちはラザリナさんの業績に興味があるんだ。詳しく話してもらえるか？
勿論！彼女は憶質動力学の優秀な学者で、最初に憶質速度測量法を星間旅行に応用した人物よ。
でも残念なことに、ガーデン・オブ・リコレクションの存在のせいで、普通の人たちは憶質の性質にあまり関心を持たなかったの。最終的に彼女は無名のまま亡くなった。数冊の薄いノートだけを残して……
私が彼女に憧れてピノコニーに来て、必死になってドリームリーフを探し出したのは、ここが彼女の亡くなった場所だったからよ。天は才ある者に嫉妬する…ラザリナさんにもう少し時間があれば、きっと憶質の流れを逆転させる方法を見つけられたはずなのに！
私、感じるの。その源は…「黄金の刻」にあるってね！あそこには記憶域の流れを搔き乱す、何か異常なものが存在してるわ。もっと直感的な証明をしないと…そうすれば、きっとみんなを説得できる……
ヴェルトと話す
…ふむ、「ラザリナ」という名前を覚えているか？
車掌が言ってたナナシビトの1人だ。
ああ。彼女はドリームリーフで数々の研究と測量を行っていたが、突然この世を去ってしまったようだ。
クメイさんはよく彼女の話をするんですよ。なんでもラザリナさんは、監獄戦争の時期に亡くなってしまったんだとか。彼女が今のピノコニーを見たら…みんなが記憶域の中に家を建てているのを見たら、きっとすごく喜ぶでしょうね。
…そうかもしれないな。
ミーシャと貿易エリアへ向かい、仲間を探す
ミーシャはドリームリーフに自分の家があると明言した──それが本当だとしたら、ホテル·レバリーの待遇はあまりにも酷すぎる。しかし、純粋なミーシャはそんなことなど気にも留めていないようだ。それどころか、彼はあなたたちが困っていることに気づいて、はぐれた仲間を探すためのガイド役になり、ついでにこの寂れた街を案内してくれると言った。さらに、よく知る友人──ロビンに会うチャンスもあるという。
だが、まずは三月なのかと姫子と合流する必要がある。ミーシャは、列車組のメンバーは貿易エリアにいる可能性が高いと考えているようだ。見に行ってみる価値はあるかもしれない。
だが、まずは三月なのかと姫子と合流する必要がある。ミーシャは、列車組のメンバーは貿易エリアにいる可能性が高いと考えているようだ。見に行ってみる価値はあるかもしれない。
ボクたちの目的地は貿易エリアです。そこはドリームリーフで一番人が多い場所なので、おふたりの仲間も見つかるかもしれません。
貿易エリアに向かう
やめて……
目を覚まして！お願いだから……
ゆ、幽霊！こ…こっちに来るな……
もう！ウチもアンタも生きてる人間じゃん、正気に戻ってってば……
あっ！ヨウおじちゃん、それに穹も！ずっと待ってたんだからね！
早く手伝って！ファミリーの人に会ったんだけど、すごく怖がっちゃって。なんとか落ち着かせようとしてるんだけど……
もう、やめてくれ…ずっと善行を積んできたのに、どうして死んだ後も安らかに眠れないんだ……
…ほら、この調子なんだ。
なのがこんなに怖がらせたのか？
あはは、冗談キツいんですけど……
この人、自分が死んだと思い込んでるみたい…確かに、ここに落ちてきた時はウチもそう思ったけど。
お客様、ここは死後の世界ではなく、ドリームリーフですよ。
そうそう、聞こえた？ウチに続いて言ってごらん、「ドリームリーフ」って。
だ、だって君、目に見えないものと話してるじゃないか。ここが死後の世界じゃないなら、何だっていうんだ？う、うう…禁忌に挑んでまで夢の中で眠ろうとするんじゃなかった…好奇心がピピシを殺したんだ！
目に見えないものって？
も、もう聞かないでくれ！モンスターを引き寄せてしまう。死んだ人間はみんなここにいるんだ、みんな……！
えっと、それってまさか記憶域ミームのことじゃないよね……
その名前を口にするな！君のせいだ、あ、あいつらが来る！
ミームを追い払った後
彼は気を失っているようだ。負の感情が強すぎて、近くの記憶域ミームを引き寄せてしまったんだろう。
なるほど…でも、どうして道を歩いている人は怖がってないの？
美しい夢と違って、ここの人たちは記憶域ミームを危険なモンスターだと思ってないので…本当に危険があったとしても、強制覚醒で夢境から脱出できますしね。
でも、この方を…このまま放っておくわけにはいきません。どこか安全な場所へ運んでもらえませんか？
じゃあジェシーおばちゃんにお願いしよう！アンタたちを待ってる間、たくさんの地元の人と知り合ったんだ。
ここではみんな自給自足の生活を送ってるんだって。なんて言ったらいいのかわからないけど…なんか、こっちのほうが本当の夢の世界みたいに思えるんだよね……
ジェシーおばさんを探す
ミーシャはドリームリーフに自分の家があると明言した──それが本当だとしたら、ホテル・レバリーの待遇はあまりにも酷すぎる。しかし、純粋なミーシャはそんなことなど気にも留めていないようだ。それどころか、彼はあなたたちが困っていることに気づいて、はぐれた仲間を探すためのガイド役になり、ついでにこの寂れた街を案内してくれると言った。さらに、よく知る友人──ロビンに会うチャンスもあるという。
三月なのかとは無事に合流できたが、姫子を探しに行く前に、ピンク色の幽霊に驚かされた不運な人を地元民に預けなければならない。三月なのかの言うジェシーおばさんにお願いするのがよさそうだ。
三月なのかとは無事に合流できたが、姫子を探しに行く前に、ピンク色の幽霊に驚かされた不運な人を地元民に預けなければならない。三月なのかの言うジェシーおばさんにお願いするのがよさそうだ。
ジェシーおばちゃん、こんばんはー！あれ…今って夜だっけ？
なのかちゃん、いらっしゃい。そっちの人たちは……
この2人はウチの仲間！倒れてる人は…ビビって気絶しちゃった怖がりさん、かな……
あはは、わかった。またうっかりここに迷い込んじゃった人ね。ここに置いていきなさい。
最近は知らない顔がどんどん増えてきてる…きっと美しい夢で色々起きてるのね。はあ…アスデナに残された数少ない自由の地からも、平穏が消えてしまうのかしら……
こういうことはよくあるのか？
よくあるってほどじゃないけど、頻度は高くなってるわ。これも「美しい夢が崩壊する」兆候の1つなのかも。
こっちの人はかなりショックを受けてるみたいね。なのかちゃん、天環族の女の子を探してきてくれない？彼女の歌声は精神的な傷を癒やせるの。
天環族の女の子……？
恐らくロビンさんのことだろう。今、彼女もドリームリーフに来ているんだ。
えっ！？ロビンさん？ロビンさんなら──そっか、ホタルが無事なら、ロビンさんも同じような体験をしてるはずだもんね。
事の経緯を明らかにするため、このミーシャが今から俺たちを彼女のところへ連れていってくれる。だが、その前に姫子と合流しよう。そういえば…君は姫子と一緒だったんじゃないのか？
うん、ちょっと前まで姫子と居住エリアにいたよ。そこで大勢の密航者に会ったんだ。ほとんどは近くの星系から来てるって言ってた。
ドリームリーフみたいな場所は、アスデナの記憶域にいくつかあるんだって。大海原に浮かぶ島みたいに、ファミリーが来る前から存在してたみたい。
それから、ドリームリーフがまだそんなに大きくなかった頃は、ここがピノコニーの夢境の中心だったって話も聞いたよ！
それが本当なら、美しい夢とこの土地に多くの類似点があることにも説明がつくな。
姫子はまだそこの人から話を聞いてるはずだから、ウチらも急いで出発しよっか？
姫子を探す
ミーシャはドリームリーフに自分の家があると明言した──それが本当だとしたら、ホテル・レバリーの待遇はあまりにも酷すぎる。しかし、純粋なミーシャはそんなことなど気にも留めていないようだ。それどころか、彼はあなたたちが困っていることに気づいて、はぐれた仲間を探すためのガイド役になり、ついでにこの寂れた街を案内してくれると言った。さらに、よく知る友人──ロビンに会うチャンスもあるという。
ドリームリーフの幽霊に纏わるエピソードはひとまず一段落した──ようやく姫子を探しに行ける！彼女が恋しい…そうだろう？
ドリームリーフの幽霊に纏わるエピソードはひとまず一段落した──ようやく姫子を探しに行ける！彼女が恋しい…そうだろう？
さっき別れたのはここだから…うん、もうすぐだよ！
姫子と話す
そうだったの…ここで残りの情報をすべて補えるなんて思ってなかったわ。
フフ…ギャラガーさんの口癖を借りれば、「運命のイタズラ」ってやつだな。
姫子、みんなを連れてきたよ！
みんな揃ったようね。ちょうどよかった、この人はミカ、流刑の地の責任者の1人なの。ミカ、彼らは私の仲間よ。
ナナシビトの皆さん、こうして会えて光栄だ。
ウチらのこと知ってるの？
あんたたちがピノコニーに足を踏み入れた日から、ずっとその動向に注目していたからな。ドリームリーフと12の夢境が隔絶されてさえなければ、もっとちゃんとした形で会えるはずだったんだが。
正式に自己紹介しよう。俺はドリームリーフの「墓守」、ミカだ。
墓守……？
ドリームリーフでの生活はとても自由で、組織と呼べるものはない。みんなそれぞれの生活を送り、互いに干渉しないようにしてるんだ。俺にできることも…毎日決まった時間にいくつかの墓を掃除することくらいさ。
ミカさん、それは謙遜しすぎですよ。道に迷った夢追い人がここに連れてこられるたび、いつもミカさんが守護者として彼らを美しい夢に送り返したり、混沌とした夢境の中で生きる方法を教えたりしてるじゃないですか。
なるほど、まるで保護者だな。
ん？ヴェルトさん、今のは俺に言ったのか？
…ん？
……
ところでミカさん、君の言う墓とは？ここに来るまでの間、墓地は見かけなかったと思うが。
フフ、墓と言っても、いくつか象徴的な慰霊碑があるだけだ。ヴェルトさんが気になるなら、実際に見に行こう。俺の推測が正しければ、あんたたちはそこでかなりの収穫が得られるはずだ。
だがその前に…もう1人一緒に行く大切な客人がいる。
大切な客人？それってもしかして……
こっちだ。ドリームリーフの道路は長いこと補修されてないから、足元に気をつけろ。
大切な客人と会う
姫子を見つけた時、彼女はミカという地元民と話をしているところだった。この「墓守」を名乗る温厚そうな男性は、ここドリームリーフの責任者の1人だという。
あなたたちの登場に驚くわけでもなく、彼はより深くドリームリーフを知れるよう、みんなを案内すると言ってくれた。しかし、その前にある「大切な客人」に同行しなくてはならないらしい。予想外なことが起きない限り、その「客」とは十中八九ロビンのことだろう。
あなたたちの登場に驚くわけでもなく、彼はより深くドリームリーフを知れるよう、みんなを案内すると言ってくれた。しかし、その前にある「大切な客人」に同行しなくてはならないらしい。予想外なことが起きない限り、その「客」とは十中八九ロビンのことだろう。
彼女だ。
本当に…ロビンさんだ！
ロビンと話す
みんな素晴らしい歌声ね。こういうスタイルの曲はあんまり歌わないから、すごく勉強になったわ！
ロビンさん、本当になんとお礼を言ったらいいのか…たった数日で子供たちがあんなに上達するなんて。
グリッサさん、私は声の出し方を教えただけ…人生に希望を持つことを教えたのはあなたよ。
……現実世界での日々は、きっと大変でしょう？
わかっていたのですね。
お別れの時間がくる度、子供たちはこの流夢の地から離れることを嫌がる…でも私がドリームリーフで会った人たちは、みんなこのボロボロの夢に…留まる価値はないと言っていたわ。
フフ、さすがは期待を寄せられるハーモニーの子ですね。
エマとアンディは私が引き取った孤児…目が見えないカロはピノコニー近郊の栄養所で働いていて、ギャリーは幼い頃から自閉症の症状が出ています。何よりみんなまだ未成年で、ファミリーの美しい夢に行くこともできません。
鳥に例えるなら、この子たちは生まれつき翼が欠けた雛鳥。ですが、この夢の中でなら、この子たちも完全な翼を得ることができる。飛び方が覚束なくても、自分の力で空へ飛び立てるのです。
私は両足を失った老いぼれ…この夢境がなければ、子供たちの前に出ることすらできなかったでしょう。
あなたたちがピノコニーの夢の中で新しい生活を始められたことは、私も嬉しく思うわ。ただ……
ご心配なく、ロビンさん。夢には意味がありますが、それがすべてではありません。私も子供たちもよく理解しています。夢の中でどんなに高く飛べたとしても、いつかは現実世界に戻らなくてはならない、と。
ですが、見てください。今ではエマもギャリーも自分を卑下することはなくなり、カロは目が見えないことへの戸惑いにどう向き合えばいいのかわかってきて、アンディは以前よりもずっと活発になりました。おかげさまで、私もかなり楽観的になっています。
私たちは夢の中で人生を学び、現実世界に戻って…生きることを学ぶのですよ。
…翼が欠けているなら、お互いに翼を貸し合えばいい。
夢の偽りの空に執着する必要なんてないの。なぜなら私たちには…もっと広い世界へ飛んでいく権利も、その力もあるのだから。
グリッサと子供達が去った後
無事な姿を見られて嬉しいわ、ロビンさん。
星穹列車の皆さん、また会ったわね。私の失踪で外の世界は大騒ぎになっていると聞いたわ…本当にごめんなさい。
ここにいるということは…ロビンさんはピノコニーの現状を十分に理解していると思っていいのかしら？
ピノコニーに戻ってから、私の声は調子がおかしくなって、だんだんと声が出なくなってしまったの。最初はただの偶然だと思ってたわ。長く外で暮らしていたせいで、アスデナの高濃度の憶質への耐性がなくなってしまったのかもしれないって。
でも、今となっては…原因は私ではなかったみたい。私の周りには「調和」と相容れないものが存在していた…声が出なくなったことも、美しい夢が崩壊する予兆の1つだったのね。
美しい夢の崩壊…あのメモキーパーも同じようなこと言ってた。本当だったんだ……
私がピノコニーを離れている間、12の夢境の境界は広がり続けていた。でも私が夢の異変について触れる度、クランの当主たちは言葉を慎んでいるような気がしたの。答えてくれたのは兄だけだったわ……
その後、カンパニーの使者から密かに手紙が送られてきて、ピノコニーの光の下には人に言えない秘密が隠されていることを確信した。最後に、オーク家の文書からいくつかの手掛かりを得て、ここを見つけたの……
…ファミリーに「死」という名で隠蔽された流刑の地、ピノコニーの過去が封印された夢の中の夢を。
こうして聞いた感じだと、ロビンさんの声の不調は回復してきてるみたいね？
ええ…残酷だけれど、ここの「調和」は美しい夢の中よりも広く伝わっている。これは紛れもない事実よ。
残念なのは、ファミリーの中から裏切り者が出たことね。彼…あるいは彼らは最初の信念を捨て、「調和」の名のもとに人間の弱さを利用して、ピノコニーを儚く美しい夢に溺れる「宴の星」へと変えてしまった……
こんなの「強きを以って弱きを助ける」どころか、「強きを以って弱きを支配」しているだけよ。平等性を失った世界は、もうニ度と「調和」の恩顧も、其の祝福の声も賜れない…歌えなくなるのも当然だわ。
ロビンさん、別の可能性は考えられないか？例えば──ファミリーの理念の変化は、別の勢力が関与している、とか。
黄泉さんの例から考えても、使令以上の力が介入しない限り…「調和」のテリトリーで、すべての人に影響を与えられる別の意志が存在するとは思えない。
はあ…仙舟同盟の件は私も聞いているわ。でも私の知る限り、外部勢力によるファミリーへの関与は考えられない。ただ…私が故郷を長く離れていたせいで、見えていない部分が多すぎるだけかもしれないけれど。
とにかく、私は自分の故郷が「調和」の名のもとに、「調和」とは反対の方向に進んでいくことは受け入れられないの。
どうして「時計屋」のミハイルがファミリーと決別したのか、そして誰が裏切りの決断を下したのか…ミカさん、私たちの取引を覚えてる？遂に答えを出す時が来たみたい──
──私は諦める。もう「調和セレモニー」の舞台には立たないわ。
サンデーの回想
お兄ちゃん、見て！小鳥がいる！
ハーモニーピジョンの雛みたいだね。
でも、この辺はハーモニーピジョンの生息地でもないのに、どうして独りぼっちでここにいるんだろう？親に捨てられたのかな？
なんだか弱ってるみたい…クッションを持ってきて、その上で休ませてあげるのはどうかな？
いや、ここは危険すぎる。とりあえず連れて帰って、キミの部屋にある木の棚で休ませてあげよう。
いいかも…きっと綺麗な声で鳴くね。でも、この子が寝るところはどうすればいいの？
ボクが当主に頼んで、鳥籠を作ってもらうよ。
籠…それじゃあ自由に飛べないんじゃない？
どれどれ…デウムの最も優秀な代弁者である君たちが、食後のデザートすら忘れてしまうほど夢中になるものが何なのか、私に見せてごらん。
おお…哀れな小さき命…あまり楽観できる状態ではないようだが、君たちはこの命を救いたいのかい？
うん…でも、閉じ込めるのはダメだと思うの。
それは何故かな？
この子はまだ小さくて、羽も生え揃ってないし、歌も歌えないけど…籠の中で生きるために殻を破ったわけじゃないと思うから。
鳥は…空を飛ぶために生まれてくるんだよ。
とてもロマンチックな考えだね。では小さな博士、君も妹の意見を認めるかい？
ボクもロビンの言う通りだと思います…でも、この子を外に置いておいたら、きっと数日もしないうちに死んでしまうでしょう。
ふふ、我らが小さな博士は、まだ少し迷っているようだ。では子供たち、君たちのために1つ話をしてあげよう。
知っての通り、ハーモニーピジョンは大気圏を飛び越えることのできる鳥だ。高い高度を飛ぶ時、その羽は摩擦による高温で壮麗な光を放つ。まるで流星のようにね。
そういう美しい光景を何度も目にしてきた私たちは、それを生まれつきの能力だと思っていた…しかし、その流星のような輝きは、彼らが大自然の中で数百琥珀紀を戦い抜いた結果なんだ。
ハーモニーピジョンの祖先はあまりに弱く、地上の生存競争に勝つことができなかった。だから彼らは狩られる運命から逃れるため、空を見上げ、羽ばたき始めた……
そうして数千、数万世代にもわたる試みを経て、群れの中の1羽がついに、翼を正しく羽ばたかせる方法を学んだ。そして空に飛び立ち、大地に別れを告げたんだ。
つまり、鳥は最初から飛べたんじゃなくて、自分の意志で飛ぶようになったってこと？
ふふ、それも1つの理想主義的な解釈だ。さて…サンデー、君はどう思う？
ボクは……
空を飛ぶことが鳥の天性だと考えられているのは…人が地面に落ちて死んだ鳥を見たことがないからだと思います。
うん、それも面白い考え方だ。では君は今、この小鳥をどうすべきかもうわかっているね？
はい…ええと、まずは籠に入れます。少なくとも独りで生きていけるようになるまで…なぜなら……
ボクは…どうしてもその子に生きていてほしいから。
よろしい、君たちの心の中にはすでに答えがあるようだ。君たちの描く未来図は実に素晴らしい。それがそれぞれの方法で実現されることを、私も心から願っているよ。
この子は私たちがちゃんとお世話する。ね、お兄ちゃん？
うん。でもゴフェルさん、まだ1つわからないことがあって……
言ってみなさい。
もしこのハーモニーピジョンが最後まで飛べなかったら、どうすればいいですか？
つまり…もし、この世界に一生飛べない雛鳥がいたとしたら……
ボクたちは彼らを空に帰すべきなんでしょうか…また地面に落ちて、死んでいくのを見ることになるとしても。