「調和セレモニー」開幕まで、あと11システム時間 ドリームリーフの反対側 
いい夢を見てるようだな。小鳥、目を覚ませ。
……
どうした、立てないのか？手を貸してやろうか？
ワタシは…死んでいない？
ふん、嬉しいか？
…ロビンがどこにいるか教えなさい、今すぐに。
ハッ、どうせ最初に気にするのは妹のことだろうと思ってたさ。
安心しろ。お前の妹はここにいる、そして安全だ。今は…街を歩いて住民たちを訪ねている頃だろう。
この状況、俺がお前だったらもっと自分のことを気にするが…何せ目の前に、さっき自分の胸にナイフを突き立てた野郎が立ってるんだからな。
もし本当にワタシを殺すつもりなら、こうやって会話する必要もないでしよう…目的を言いなさい、「時計屋」の犬め。
ふん、そこまでお見通しってわけか？なるほど、道理で夢の主や四大クランとやり合えるわけだ…俺の選択は正しかったようだな。
選択？
お前なら俺の目的はわかってるだろう？「虚構」が見抜かれた以上、俺に残された時間は少ない。もう駆け引きをするのはやめだ…
俺は…お前と手を組みたい。
なぜワタシと手を組めると思うのです？
あの名高いロビンも、こっち側につくことを選んだからさ。さらに裏切り者の手掛かりと、ピノコニーの明るい未来──これだけのものを入れたカクテルがあれば、お前を満足させられるか？
嘘に塗れた人間が真実を口にするとは、到底思えませんね。
大丈夫、俺のことは信じなくてもいい。お前が信じるべきは……
お前の心の中にある正義 だ。
……
…まずはロビンに会わせてください。
ああ…お望み通り、彼女が来たぞ……
……
これはどういうペテンですか？
ははは、冗談だよ。このお嬢さんが俺たちをロビンのところに連れて行ってくれる。そうだよな？
うん。あたしも星穹列車も含めて、あなたに聞きたいことがある人は…たくさんいるからね。
はっ、そいつは結構。ではこちらへ、高貴なるオーク家の当主様。これで…役者は揃った。
しばらくして……
……
これがさっき言った慰霊碑だ。書かれてる名前は…あんたたちならよく知ってるだろ？
「ラザリナ」、そして…「ティエルナン」。
ピノコニーが「辺境の監獄」と呼ばれていた時代、「開拓」がここと他の星々とを繋げてくれた。彼らはアスデナを救った英雄…その名はこんな小さな石ころじゃなく、もっと歴史のある大きな石碑に刻まれるべきだ。
しかし今、宴の星には美しい夢しか残されてない。あの重い歴史と監獄の姿は…もう跡形もなくなくなってる。
彼らの名前が石碑に刻まれているということは……
ミ力の言う通りなら、彼らはずっと昔に亡くなっていることになるわね。
ラザリナは独立戦争で犠牲になった。憶質の流れを明らかにするため、1人でシャトルに乗って星系の中心に行き、そのまま帰ってこなかったんだ……
ティエルナンは銃の扱いが上手いカウボーイで、強くて頼れる男だった。彼は人々を率いて悲惨な対外戦争を乗り越えたが、真の平和が訪れる日までは…もたなくてな。
戦争から10年が経った頃、ピノコニーはひどい内憂外患に陥った。アスデナのために、ティエルナンは再び「開拓」の道を歩むことを決め、アークティッド家を率いて星系外を探索したんだ。だが、スウォームに包囲されて…全滅した。
予想はしてたけど、実際に先輩たちの話を聞くと…やっぱり悲しいね。
彼らの人生は未知の世界への旅の上にある、「開拓」の名に恥じないものだわ。でも…この名前のない慰霊碑は……？
ドリームリーフが誕生した時、その記念碑の主はまだ死んでいなかった。だが、その人は「いつか来る日のために」と言って、自分のために無銘の碑を建てたんだ。
星穹列車ご一行、また会ったな。
ロビン……
ギャラガーに現状を聞く
元々は列車組と合流するつもりだったのだが、結成したチームはというと──ギャラガー、ミカ、ミーシャ、ホタル、ロビン、サンデー…と、かなりの大所帯になってしまった。この状況を作り出したのは他でもない、普段どんなことにも頓着しないギャラガーだ。
もしギャラガーが寂しくて人を集めた…というわけでないのなら、きっと何か驚くような陰謀を企んでいるに違いない…幸い、こちらに敵意はなさそうだ。もしかしたら、平和的に事件の全貌を知ることができるかもしれない。
もしギャラガーが寂しくて人を集めた…というわけでないのなら、きっと何か驚くような陰謀を企んでいるに違いない…幸い、こちらに敵意はなさそうだ。もしかしたら、平和的に事件の全貌を知ることができるかもしれない。
その兄妹には少しプライベートの時間をやるって約束してるんでな、先に俺たちの話をしよう。それでいいか？
ああ、構わない。ギャラガーさん、せっかく苦労してファミリーの意思決定者、星穹列車、星核ハンターを一同に集めたのは、何か重要な話があるからだろう？
はっ、何だ、あんたらまでお見通しってわけか？
正直、もう顔に「くろまく」って4文字が書かれてるようなもんなんだけど……
ははは、ヴェルトさんの言う通り、そろそろ誠意ってもんを見せる時だな。
その兄妹は知るべきことは知ってるから、どう選択すればいいかもわかるだろうが、ナナシビトご一行は到着が遅かったからな。質問の時間を取るのは当然のことだ。
改めて自己紹介をしておこう──ドリームリーフの創立者にして「時計屋」の助手…そして、例の招待状を出した張本人でもある……
「虚構歴史学者」のギャラガーだ、以後よろしく。
虚構歴史学者〜？じゃあこれまでウチらに話したことは、全部デタラメだったってこと？
いや、お前らに話したことは全部本当だ…まあ、ほとんど…「ファミリーが再び俺を受け入れた」って点を除いてだが。
ミカに確認したから、ファミリーと「時計屋」、それとミハイルの功績については嘘じゃないってことはわかってるわ。
ご理解いただいたところで、早速話を進めよう。みんな知りたいだろ？どうして俺が、こんな大変な思いをしてまで遺産争奪戦を仕掛け、こんなに多くの派閥を招待して、ピノコニーを大混乱に陥れたのか……
答えは至ってシンプルだ。すべての根源は、お前らもよく知る…「星核」にある。
星核？ピノコニーはどこへでも行き来できる星間の中枢で、汚染された形跡もないように見えるが、どうして星核が関係あるんだ？
仰る通り。だから当ててみてくれ、それが何を意味しているのか。
誰かが星核を操ってるとか？
鋭いな。さすがはこの場で最も星核に詳しい人物、といったところか。
美しい夢は無から作り出されたものじゃない。記憶域を海に例えるなら、夢の地を築くってのは、荒れ狂う海を土で埋め立て、陸地を造るようなものだ。
それほどの偉業を達成するのに、「記憶」あるいは「神秘」の使令の力を借りないとしたら…星核を使うしかない。
そして、それは単に願ったからって叶うことじゃない。相当の知識を備え、多くの時間と労力を費やして、やっと完璧なものになるんだ。ここまで言えば、もうわかるだろ……
今の「宴の星」は、アスデナの星核の災いそのものなのさ。
宴の星が…星核の災い？
話は過去に遡る。「時計屋」一行は辺境の監獄を解放したが、無からピノコニーを創り上げるのは至難の業で、内外の問題もキリがなかった。そんな時、星核の力を使おうと企む奴らが現れたんだ。
その星核は戦争時代にアスデナに落ちたものだったが、ナナシビトの訴えにより、当時の人々はその力に頼ろうとはしなかった。だが、下心のある奴はそれを狙い続けていたのさ。
すべての転換点はティエルナンが犠牲になった時だ。2人のナナシビトの仲間を相次いで失い、「時計屋」は自ら開拓の前線に出ざるを得なくなった。そして、その遠征が彼の敵にチャンスを与えた。
モントール星系のファミリー代表が「時計屋」の呼びかけに応じてやってきた時、星核はすでに活性化され、未開の共感覚夢境の中に浸透していたんだ。
そのファミリーが、都合よく星核を封印する知識を持っていたってことね？
それどころか！奴らの星核に対する知識は常人のそれを遥かに超えるものだった。すぐにミハイルを助けて内乱を鎮めると、「調和」の名義でピノコニーの建設に加わったんだ。
それは「夢追いの時代」と呼ばれる3琥珀紀のことだった。そして真相を知らない「時計屋」は全宇宙に招待状を送り、夢の地の大ブームが巻き起こったのさ。
それで…どうしてその人たちは敵対するようになったの？
さっきの「海を埋め立てる」って例を覚えてるか？事実として、星核は封印なんかされてなくて、形を変えて夢の中に存在してたんだ。よく考えてみろ。こんな巨大な「美しい夢」を構築して維持する、そのための代償は何なのか？
それは命だよ、お嬢さん。豪華絢爛な美しい夢は精神の死の上に築かれ、「快楽」という毒酒が夢境を満たして人々を溺れさせる。理性はゆっくりと同じ終点に流れていき、最後には美しい夢の胎盤になるのさ。
迷い、怠惰、憶病…そういう人間なら誰もが持つ弱さは、ファミリーによって増幅され、肥え太らされ、ピノコニーを過去のそれよりも遥かに堅固な別の監獄へと変えた。
俺たちは気づくのが遅すぎたんだ。その時にはすでにファミリーによってすべてが掌握されていて、反逆者はすぐに捕らえられ、追放された……
窮地に陥った俺は「神秘」の力を借りて、この混沌とした記憶域に身を潜め、また数年をかけて夢の中で俺たちに仕えるミームを「虚構」した──
「ネムリ」──これがそいつの本当の名前だ。普通の人間は夢の中で再び眠ることができない。だからこそ、その隙を突くことが俺たちの突破口になる。
それが「不可能を見届ける」の本当の意味だったの…つまり、あんたが「時計屋」として招待状を出したのは、星核の危機を何とかできる派閥を見つけ、ピノコニーの真実に気づくよう誘導するためだったってことね？
それだけじゃない…俺は各派閥が遺産争いを繰り広げる姿と、10年以上も姿を消していた「時計屋」が声を上げることで、ファミリーの中の「裏切り者」が馬脚を露わす瞬間を見たかったんだ。
つまり、「遺産」は本当にただの口実だったってわけ……？
もしお前が星核を遺産にしたいってんなら、俺も文句は言わないぞ。
それで、その星核は今どこにあるの？
それはあの羽頭の小僧に聞くべきだな。星核は常にファミリーの支配下にあり、奴はオーク家の当主だ。きっとその質問にも答えられるだろう。
サンデーに星核の行方を聞く
元々は列車組と合流するつもりだったのだが、結成したチームはというと──ギャラガー、ミカ、ミーシャ、ホタル、ロビン、サンデー…と、かなりの大所帯になってしまった。この状況を作り出したのは他でもない、普段どんなことにも頓着しないギャラガーだ。
彼は列車組に宴の星の真の姿、すなわち人為的にコントロールした星核の災いについて説明した。しかし、その星核が今どこにあるのかは、陰謀を企てた本人にもわからないらしい──今はただの悪役に見えるファミリーのリーダー、サンデーがあなたたちに協力してくれることを願うしかない。
彼は列車組に宴の星の真の姿、すなわち人為的にコントロールした星核の災いについて説明した。しかし、その星核が今どこにあるのかは、陰謀を企てた本人にもわからないらしい──今はただの悪役に見えるファミリーのリーダー、サンデーがあなたたちに協力してくれることを願うしかない。
お喋りは済んだか？どうだ、そろそろあの「星核」の在処を教えてくれないか？
……
それは…ピノコニー大劇場そのものです。
やっぱりそうなのね。ファミリーの化身、美しい夢の中に最初に現れた建物…それがピノコニーをこんな姿に変えた元凶だったなんて。
星核を利用してそれを完成させたのは…恐らくはゴフェルさん、今の「夢の主」でしょう。
ふう、思ったより順調だな。こんなに早く容疑者を特定できるとは。それとも、事前調査が十分だったのか？
アナタの言う通りです。妹を殺した「犯人」を調べていた時、アナタを除いて…ワタシが次に疑ったのは彼でした。
お前が先に俺を尋問したのは正しかったみたいだな。
他に選択肢はありませんでした。夢の主の形跡を捕らえるのは難しく、当主たちですら彼に会うのは困難ですから。
しかし…ゴフェルさんはワタシと妹にとって恩のある方、こんな結果は知りたくありませんでしだね……
恩って…どういうこと？
実は私たち兄妹も万界の癌の被害者なの。孤児だった私たちは、救済に来たファミリーに引き取られて育った。そしてゴフェルさんは私たちの資質を見抜き、ピノコニーに連れてきたのよ。
でもだからと言って、ゴフェルさんが「調和」の対極に向かっていくのを、黙って見ていることはできない。ましてや、自分の歌声で罪深い事業を讃えるなんて、以ての外よ──
ファミリーの裏切り者が誰であろうと、彼がどんな命令を下そうと、私が舞台で歌うことはないわ。私たちは絶対に調和セレモニーを、「調和」を破壊する儀式に変えさせたりはしない……
私たちの理想の楽園のために。
ええ…ワタシたちの理想の楽園のために。
オーク家の当主として、ピノコニーの明るい未来のため、ワタシは絶対に引くわけにはいきません。ワタシとロビンはすぐに美しい夢に向かい、何とか夢の主に会って今回のことを問い質します。もしファミリーが本当に「調和」から外れているのなら……
ワタシは皆さんと同じ戦線に立ち、調和セレモニーを中止して、自らゴフェルさんの犯した罪を償いましょう。
お前らが立ち向がおうとしている敵、あるいは敵たちは、俺みたいな弱っちい老犬とは違って、少し手を出しただけでくたばるような相手じゃないぞ……
共通の目標がある以上、力を合わせた方が勝機を掴める確率も上がると思うんだが…どうだ？
私たちは先輩ナナシビトの足跡を辿ってここまで来たの。今さら彼を追うのを諦めたりしないわ。
うん、ナナシビトは困難にぶつかったくらいで怯んだりしないもん！穹、アンタもそう思うでしょ？
ヒーローが逃げるわけにはいかないからな！
そうそう、またウチら星穹列車が世界を救う時が来たんだよ！
列車組はこうした事態を傍観したりはしない。サンデーさん、ロビンさん、星穹列車を代表して、俺が君たちに同行しよう。第三者が立ち会った方が、交渉もよりスムーズにいくはずだ。それに、危険が迫った時のことを考えると…1人でも多い方がいい。
感謝します、ヴェルトさん。
皆さんも、ありがとう。
調和セレモニーはまもなく幕を開ける。もう時間はありません、皆さん──出発しましょう。
ヴェルトの話を聞く
星核への対処について、その場にいた全員の意見が一致した。正直者の天環族の兄妹も、それぞれの特殊な肩書を利用して、ファミリー内部から解決方法を探ってくれるという。
ここまではまずまずの展開といったところだが、ヴェルトには拭えない懸念があるようだ──彼の考えを聞いてみよう。
ここまではまずまずの展開といったところだが、ヴェルトには拭えない懸念があるようだ──彼の考えを聞いてみよう。
みんな、こっちに来てくれ。出発前にまだ準備したいことがある。
同行を申し出たのは俺だが、今回の夢の主との対決は…きっと厳しいものになるだろう。
え？ヨウおじちゃんがそんな風に言うなんて…夢の主ってそんなにすごいの？
ピノコニーのファミリーのリーダーである以上、恐らく夢の主の背後には「調和」の全勢力が控えてるわ…星核も彼の手の中にあることを考えると、最悪の事態に備えておかないと。
う〜ん、ヨウおじちゃん、やっぱり行かない方が……
そういうわけにもいかない。ロビンさんはともかく、さっきのサンデーさんの様子は…少し違和感があった。はっきりとしたことは言えないが…少なくとも、彼が土壇場で裏切らないよう見張っておく必要がある。
穹、君はカンパニーの使者から受け取ったトークンを持っていたな。貸してもらえるか？
ん…やっぱりか。
これが何の役に立つんだ？
思った通り、アベンチュリンさんが君に渡したこのトークンは…小型の発信機だ。
恐らく彼は、これで君の動きを追跡したり、必要があれば連絡を取ったりするつもりだったんだろう。まさか、ここに来てこれが役に立つとはな。
アベンチュリン？あの人ってまだ生きてるの…？それに、夢の主を探して交渉するのとアベンチュリンに何の関係があるの？
言っただろう。カンパニーと協力するのは、ファミリーとのバランスを保つためにも悪くないと。
交渉に問題があれば、ファミリーが星核に手を付けた意図が明らかになる。これがあの使者が夢見ていた「突破口」だ。その時がきたら、俺はこの発信機を使ってカンパニーにメッセージを送る。
唯一の賭けはアベンチュリンさんが無事かどうかだが…カンパニーの回線なら、きっと誰かしらが傍受しているはずだ。戦略投資部の重要な幹部とくれば、尚更な。それを考ると、メッセージを送るだけで十分だろう。
…幸運を祈ってるわ、ヴェルト。
ああ、君たちも慎重にな。もし何か手違いがあれば…俺に構わず、星核を封印してくれ。
ヴェルトが去った後
死を恐れないか、まさに真の英雄だな。
たとえ夢の主が潔白であっても、ファミリーの腐敗は根深い。ミハイルが犯した過ちは二度と繰り返さない…彼の幸運を祈ろう……
ギャラガー、まだ何か言いたいことがあるんじゃない？
何故そう思う？
出発前、車掌は私たちにビノコニーで3人のナナシビトの消息を追うように言った。ラザリナとティエルナンのことはもうわかったわ。残っているのは…「ラグウォーク」だけよ。
私が間違っていなければ…私たちはもうとっくに彼に会っている、そうよね？
ふん…「会っている」とまでは言えないが、答えは確かに簡単だ。何しろ、あれだけ明確なヒントを出したんだからな。
星穹列車から返事を受け取ってから、俺はあんたらに関する情報に注目してきた。様々な世界を結び付けるために、相当な労力を払ったことも含めてな。そして今、あんたらは無事にここに辿り着き、自分たちの力を証明した。
姫子さん、列車を修理して再び銀河に旅立たせたのは、あんただな？
ええ。
そして、この2人の若いナナシビトは…特殊な出自で、優れた技を身につけている。
褒めすぎ。
出自…は、まだわかんないけど、すごい技なら持ってるよ！
ふ、元気がいいな。あのパムとかいう車掌には…よろしく伝えておいてくれ。お前の親友はいつも、酔っぱらうと列車で過ごした時のことを呟いてたって。
あの最後のナナシビトは、出発して、止まって、また出発して…大回りして、最後はスタート地点に戻った。
死ぬ直前、あの人は俺に必ず星穹列車を見つけ、例の招待状を未来のナナシビトに送るよう頼んだ。そのために、彼はプレゼントも用意したんだ。「開拓」の跡を継ぐ者たちに託す…正真正銘の「遺産」をな。
ついて来い。今こそ…それが再び日の目を見る時だ。
ギャラガーについて行き、「時計屋」に会う
ヴェルトは今回の問題が深刻であること、常に最悪の事態を考えておかなければならないことを指摘した。そしてその結末を避けるため、彼は同行者たちに粛々と別れを告げ、天環族の兄妹と共に「夢の主」のもとへ行き、取引に参加すると言い出した。それを聞いて、ギャラガーもようやくすべての真実を語る気になったらしい──彼はファミリーへの不信感から、「時計屋」に関することは一部しか話していなかったのだ。
ギャラガーによると、「時計屋」は星穹列車のために貴重な遺産を残しているという…そしてその遺産こそが、星核を封印する鍵になるかもしれないというのだ。
ギャラガーによると、「時計屋」は星穹列車のために貴重な遺産を残しているという…そしてその遺産こそが、星核を封印する鍵になるかもしれないというのだ。
またここに戻ってきた……
よう…俺は時々、あんたが死んだことを忘れちまう。あんたにだってもっと話したいこと、もっと歩きたい道がたくさんあっただろう……
約束通り、最期まで気にしてた後輩を連れてきたぞ。どうしてあの列車のことを忘れずにいたのかはわからないが、あんたがこの世を去る前に言った最期の言葉は覚えてる……
俺たちを失望させるなよ、じいさん。
花園出現後
行こう、彼の終点は…すぐ目の前の花園にある。
ピノコニーの、最初で最後のナナシビト──
「時計屋、ラグウォーク・シャール・ミハイル」
「時計屋」に会う
記憶域の海面下、水中の満月に一番近い花園で、1人の老人が安楽椅子に静かに座っている。
「時計屋」──ラグウォーク·シャール·ミハイル──彼はすでに果てなき長い夢に足を踏み入れた。もう、彼を呼び起こせる声はない。
話を終えると、姫子はあなたに向かって軽く頷いた。あなたは深呼吸して心を落ち着かせ、「時計屋」を見る……
あなたが夢の泡に触れると、濃厚な憶質が集まり、そして指の腹を中心に四方に向かって伸びた。まるで緻密な網のように、憶質があなたの手のひらを支える。
指先から冷たい感覚が伝わってくる。経験によれば、この感触と一緒に錯綜した記憶の幻影が流れ込んでくるはずだが……
今回は何も見えなかった。
この夢の泡は明らかに異常だ––あるいは方法が違ったのかもしれない。あなたはそう思い、息を止めて精神を集中させる。そして目を閉じ、片膝をついて、憶質を包む膜に額を当てた。
しかし、目の前はやはり真っ暗。雪山に落ちる太陽もなければ、笑い声も、星々も、戦闘音もない。そして、「開拓」も……
…何もない。空っぽ。間違いない、これは空っぽの「夢の泡」だ。
「時計屋」──ラグウォーク·シャール·ミハイル──彼はすでに果てなき長い夢に足を踏み入れた。もう、彼を呼び起こせる声はない。
やっぱり…「時計屋」が3人目のナナシビトだったんだ。なんとなくわかってはいたけど……
彼が残した遺産は1つの夢の泡だ。きっとその中には、ナナシビトだけに意味のあるものが保管されている。
何しろ俺が中身を見ても、何も見つからなかったからな…恐らく何らかの「開拓」の暗号なんだろ。まったく、俺より謎に包まれてやがる。
見せてちょうだい。
話を終えると、姫子はあなたに向かって軽く頷いた。あなたは深呼吸して心を落ち着かせ、「時計屋」を見る……
あなたが夢の泡に触れると、濃厚な憶質が集まり、そして指の腹を中心に四方に向かって伸びた。まるで緻密な網のように、憶質があなたの手のひらを支える。
指先から冷たい感覚が伝わってくる。経験によれば、この感触と一緒に錯綜した記憶の幻影が流れ込んでくるはずだが……
今回は何も見えなかった。
何故こんなことが？
この夢の泡は明らかに異常だ––あるいは方法が違ったのかもしれない。あなたはそう思い、息を止めて精神を集中させる。そして目を閉じ、片膝をついて、憶質を包む膜に額を当てた。
しかし、目の前はやはり真っ暗。雪山に落ちる太陽もなければ、笑い声も、星々も、戦闘音もない。そして、「開拓」も……
…何もない。空っぽ。間違いない、これは空っぽの「夢の泡」だ。
あれ？どういうこと……？
この夢の泡…本当に何もないじゃん！
……
一体どういうことなの？
ふん、やっぱりそういうことか。
彼はいつもナナシビトに対して訳のわからない自信を持ってた。その計画の中には常に「開拓」が組み込まれていたが、俺にはその自信がどこから来るのかわからなかった…彼が生きてる間、列車との連絡が成功したことは一度もなかったしな。
俺はずっと、このじいさんが何を考えてるのかわからなかったが、この空っぽの夢の泡はわけのわからない幻想と…理解しがたいロマンチシズムに満ちていて、実に彼らしい。
イタズラじじいめ…まあ、この人が何か手札を隠し持ってるなんて、俺も期待しちゃいなかったが。
いいえ、ギャラガー。ミハイルはきっと、一番大切なものを私たちに残してくれてるわ。
ふ、なんだ。まさかあんたまで理屈を並べるつもりか？
ミハイルが未来のナナシビトを信じたように、私たちも過去の大ナシビトを無条件に信じてる。彼らは愛する土地のために、自分の一生を捧げようとした。それなのに、未来への後悔を抱えたまま、急に旅立ったりするはずがないわ。
「時計屋」をこの夢の泡にはきっと何かが隠されてる、ただ私たちがまだそれを見つけられてないだけでね。ギャラガー、信じることに関しては、あんたも同じでしょう？
俺は「神秘」の運命を歩む人間…人生哲学は何も信じないことだ。
…だから俺にもわかる。「信じる」ことが、「開拓」にとって何を意味しているのか…俺も彼が何を残したのか知りたい。ふん、すべては…あんたらの腕次第だ。
……
あんたの「ペット」を貸してもらえる？「黄金の刻」に戻って、夢境ショップで確かめたいことがあるの……
ミハイルのために、そしてビノコニーの未来のために。